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最終更新日2007.3.29
特徴的な記事について
 2007年1月-3月

茨木市のコミュニティづくり

  • 2006年12月19日 毎日新聞 大阪 精神科病院や同和地区偏見捨てて 共生へミニFM局大阪NPO開設を目指す

<まとめ>

2001年9月の大阪府同和対策審議会・答申に、「今後の同和問題解決のための施策の基本目標は、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現をめざし、周辺地域と一体となったコミュニティの形成を図ることである」という重要な指摘をしています。こうした内容を具体化している典型的な事例が、以下の内容です。

茨木市の三島小学校区には旧来から同和地区と精神科病院がありましたが、無理解から地域では忌避されてきました。2000年頃から、三島小学校と地域を結ぶ様々な取り組みを進めてきた成果を元に、今回、精神障害者地域支援センターと同和地区、学校などを結ぶ「ミニFM放送局」の試験放送が実施されました。今後、放送内容の広がりと深まりが期待されます。

愛媛県・全同教大会

  • 2006年11月27日 読売新聞 大阪 在日と日本?見えない壁?音楽で消えた おやじバンド笑顔で活動中生野・大池PTA
  • 2006年12月16日 愛媛新聞 松山 講演「ハンセン病問題—その差別の連鎖を問う」 共闘が人権運動広げる
  • 2006年12月16日 愛媛新聞 松山 松山で全国人権・同和教育研究大会 差別意識断ち切ろう
  • 2006年12月1日 愛媛新聞 松山 江口いと 解放のうた 全国人権・同和教育研究大会を前に 下
  • 2006年11月30日 愛媛新聞 松山 江口いと 解放のうた 全国人権・同和教育研究大会を前に 上


<まとめ>

全国同和教育研究協議会は、同和教育の研究と実践を目的に1953年5月に結成されました。現在、関東から九州まで、各都道府県ごとに設立された34人権・同和教育研究議会(ただし京都市・大阪市・神戸市は単独加盟)で構成され、毎年、全国規模の研究大会を開催しています(http://www.zendokyo.com/)。

2006年度は12月2〜3日、愛媛県で初めて開催されました。全体会の他、34の分科会が開かれました。特に特別分科会シンポジウムでは、文部科学省が2006年1月に取りまとめた「人権教育の指導方法等のあり方に関する『第二次取りまとめ』」の活用をテーマに、文部科学省・三重県教育委員会・福岡県直方市立小学校の3者がパネラーで活発な意見交換をしました。

大阪府学力調査結果

  • 2006年12月2日 朝日新聞 大阪 同和地区の小中学生学力平均下回る調査結果大阪府教育委
  • 2007年2月5日 朝日新聞 大阪 子育て、親の無関心化進む

<まとめ>

2006年4〜5月に、大阪府教育委員会は大阪市の除く府内のすべての小学校6年生と中学校3年生の約11万4千人を対象に、学力調査と生活状況や学習意識などのアンケート調査を実施しました。

この調査のなかで、同和地区出身児童生徒約800名を抜き出し分析しています。その結果をみると、正答率が小学校の国語で6.7%、算数で13.0%、府平均を下回っていました。中学校ではさらにその差が大きくなっており、特に記述式問題では20ポイント前後の差がありました。さかのぼりますが、2000年度の大阪府が実施した同和地区生活実態調査結果では、こうした状況が年齢別最終学歴構造にも色濃く反映し、25〜29歳で最終学歴が中学校卒業(高校中退を含む)が同和地区では約20%(府平均は約6%)にも達していました。同和地区の環境は大きく改善されましたが、教育面での課題は依然として大きいものがあります。

また、これは府全体の傾向ですが、学力とも関連性が強い「家庭での子育て」の状況で、「絵本を読んでもらった」「博物館や美術館に連れて行ってもらった」という割合が、2003年調査と比べて、前者は約5ポイント、後者は約14ポイントも増加しているという結果が出ています。

と場を考える

  • 2007年2月11日 朝日新聞 大阪 ■世界屠畜紀行 抜群の行動力で食肉の現場を活写

<まとめ>

と場を正面から描いた出版物は数少なく、近年では、鎌田慧さんの『ドキュメント 屠場』(岩波新書)があるぐらいです。記事で紹介された内澤旬子『世界屠畜紀行』(解放出版社、2006年)は、その意味でも大きな位置を占めていますが、同時に、日本だけでなく海外の国々を、モンゴルやエジプトのようにと畜を誇りにする国と、インドのように忌避する国、といった形で対比して紹介している点もユニークです。

現代の部落問題を伝える

  • 2006年12月21日 朝日新聞 東京 私の視点 「破戒」百年差別直視し排斥より活用を
  • 2007年1月19日 京都新聞  京都 人権劇、弥栄中教師ら挑戦 差別される人の心情に迫りたい
  • 2007年1月27日 朝日新聞 徳島版 差別の現実 甘くない 実体験もとに啓発ビデオ完成
  • 2007年2月3日 朝日新聞 大阪 大阪市長賞受賞「都会のアツイ日」 市民劇団あす上演 差別の愚かさ 訴える

<まとめ>

現在の部落問題を考える上で、貴重な取組みや視点が紹介された記事です。

1つは、2006年が、部落問題をテーマとした島崎藤村『破戒』刊行より100年という年に当たっていますが、「差別文学」として切り捨てるのではなく「反面教師」として『破戒』を読み込んでいくことを「朝日新聞」12月21日「私の視点」は提案しています。

2つめは、京都市立弥生中学校教員による人権劇、大阪市の市民劇団「かけはし座」による人権劇です。共に、これまで毎年部落問題をはじめとした人権劇を開催されています。

3つめは、徳島県の部落出身者・中倉茂樹さんの自らの生きてきた足跡をまとめたビデオの紹介記事です。

飛鳥会事件を考える

  • 2006年12月28日 毎日新聞 大阪 記者の目 部落解放運動を続けているH君へ いまこそ原点見直す好機
  • 2006年12月29日 読売新聞 大阪 記者ファイル 大阪市同和行政見直し 不正断つ姿勢明確に
  • 2006年12月22日 毎日新聞 大阪 夕刊 シンポ「今こそ部落問題を語る」 人権巡る状況厳しく

<まとめ>

部落問題に関しての不祥事事件として、2006年5月以降、センセーショナルに報道されてきた「飛鳥会事件」ですが、立ち止まって考えるための記事も掲載されだしています。

「毎日新聞」12月28日では、論説室の記者が旧知の福岡県の部落出身者に語りかけるという形式で、飛鳥会事件を見つめようとしています。12月22日の記事は、大阪市立大学院創造都市研究科が主催した、野中広務・元衆議院議員と大賀正行・部落解放人権研究所名誉理事のシンポジウムを掲載しています。

「読売新聞」12月29日は、同和行政の見直しの内容そのものが、差別の実態や利用する市民の視線からみてどうなのかを検証していようとしています。

在日と日本の相互の信頼関係を

  • 2006年11月27日 読売新聞 大阪 在日と日本?見えない壁?音楽で消えた おやじバンド笑顔で活動中生野・大池PTA
  • 2006年12月25日 朝日新聞 大阪 在日って、いいよ「日本も韓国も好き」と言えるホームページで魅力発信 
  • 2006年11月29日 朝日新聞 大阪 韓国の機関旧軍施設を調査 「強制動員」実態糾明へ
  • 2007年1月27日 朝日新聞 大阪 夕刊 少数派の視点で歴史問う 初の在日女性文芸誌創刊

<まとめ>

今日、在日韓国・朝鮮人を取り巻く状況は、大きく動揺しています。韓流ブームなど、韓国社会を肯定的に受け止めようとする流れがある一方で、北朝鮮の拉致問題や核開発問題、さらには韓国国内での反日デモなどに呼応した人種主義的な言説も、特にインターネット上で増加しているところです。

このような動きに対して、在日韓国・朝鮮人と、日本人との間で、相互の信頼関係を気付いていこうという活動が進められています。大阪の生野区では、在日韓国・朝鮮人と日本人の親、教師で結成された「PTAおやじバンド」の取り組みの中で、音楽を通じて本音で語り合い、差別を無くすために何が必要かが模索されています。また、ネットにおいても、「日本も韓国も好き」というスタンスで、在日であることの魅力を伝え、同じ思いを持つ仲間を広げようというホームページも開設されています。

なお、歴史的な事実に関しては、韓国が2004年に設置した「強制動員被害真相糾明委員会」が大阪の旧陸軍高槻地下倉庫跡や大阪砲兵工廠跡などを現地調査し、日韓の近代史における徴用の実態を明らかにしようとしています。この調査を通じて、日韓併合時代の歴史について、日韓の見解の相違を埋めていくことが期待されるでしょう。なお、この委員会は、韓国近現代史の再検討の一環として設置されたものであり、その他にも「疑問死真相糾明委員会」なども設置され、権威主義時代の人権侵害についても明らかにしようとしています。

「障害者市民防災提言」

  • 2006年11月24日 毎日新聞 大阪 04年台風23号・中越地震 災害の被害者 私ぬきに決めないで

<まとめ>

各地の災害で障害者を支援してきたNPO「ゆめ風基金」が、被災した障害者150人のアンケート調査を行い、事前防災から復興にいたる総括的な「障害者市民防災提言」をまとめました。国は、市町村に災害時要援護者の支援計画作りを促していますが、重要な参考意見とした検討されるべき内容です。

外国人研修生・技能実習生の人権

  • 2006年12月4日 読売新聞 大阪 東日本工場イスラム教徒に礼拝禁止 研修・実習生受け入れ条件 人権侵害の疑い
  • 2007年2月4日 読売新聞 大阪 外国人研修制度 不正行為の実態

<まとめ>

日本における外国人研修生の受け入れについては、1990年に研修制度が改正され、中小企業団体などが研修生を受け入れる団体管理型の受け入れが認められました。また、1993年には、雇用関係を締結して、より高度な技術・技能を修得することを目的とした技能実習制度が創設されました。

しかしながら、これらの制度を悪用して、安価な労働力として利用しているという実態があります。第一次受け入れ団体である事業協同組合の幹部が、みずから経営する人材派遣会社で研修生を管理し、派遣契約をした企業に派遣したり、長時間労働を強いるなど、不正な取扱いが跡を絶ちません。そもそも研修生は労働者とは位置づけられておらず、最低賃金や労働時間規制による保護が与えられていません。そうであるにもかかわらず、一般労働者と同様の作業をさせているという実態も見受けられます。さらには、宗教的実践を禁じるなどといった、信教の自由を侵害するケースも指摘されています。

これらの問題を解決するためには、外国人研修制度・技能実習制度を抜本的に改正するとともに、事業主に対して、移住労働者の人権について理解を促すことが必要でしょう。

フリーターへの偏見・権利侵害

  • 2006年11月24日 毎日新聞 大阪 フリーターの権利 自ら守り始めた青年ユニオン
  • 2006年11月29日 朝日新聞 大阪 「新卒で就職できない人は欠陥品」「フリーターになっては人生台無し」
  • 2006年11月30日 日本経済新聞 大阪 正社員並みパート 賃金差別を禁止 労政審素案福利など義務規定
  • 2006年12月26日 毎日新聞 大阪 記者の目 フリーター「奴隷ですから…」労働の尊厳奪う格差社会
  • 2006年12月27日 読売新聞 大阪 パート差別待遇禁止 厚労省労働法改正案盛り込みへ
  • 2007年1月3日 読売新聞 大阪  公はどこへ1 貧困ビジネス 困窮者支援「収益上がる」
  • 2007年1月3日 読売新聞 大阪 母子加算廃止の女性「最低限度の生活って何」 生活保護の綱ほころび
  • 2007年2月12日 日本経済新聞 大阪 職業訓練費用 フリーターに公的助成
  • 2007年2月18日 朝日新聞 大阪 格差是正 失われた世代に支援を

<まとめ>

今日の格差拡大や貧困問題の核心は、いわゆる非正規労働者の処遇がきわめて劣悪であるという点にあります。1990年代の不況時には、新規採用が抑制され、多くの若者が正社員として採用されず、アルバイトで生計を立てざるを得ない状況に置かれています。この若年層は「失われた世代」と呼ばれ、働いていても十分な収入を得られないというワーキングプアという現象が生じています。所得が低く、自立した生活を送ることが困難であることに加え、働き方自体も、解雇が容易であることから常に不安定な状況に置かれ、それゆえ、厳しい労働条件や労働環境にも耐えなければならないという、人間の尊厳すらあやうくされる労働実態も指摘されています。また、こうした人たちに対しては、新規採用の冷え込みを度外視して、「就労意欲に欠けているのだ」とする社会の偏見も根強いものがあります。

このような状況に対しては、ようやく、フリーターの権利を保障しようとする動きが生まれています。安倍政権の下で、底上げ戦略が打ち出され、職業訓練費用の助成が構想されていますし、パートタイム労働について、一定の要件を満たした場合には均等待遇を強化する方向性も打ち出されています。また、フリーターたちも、自らの働く権利を確保するために、労働組合を結成し、使用者と対等な交渉を行うようになってきました。

しかしながら、他方で最低限の文化的な生活を保障する生活保護は、不況下での受給申請増加を背景に、自立支援・保護水準切り下げという方向に舵を切っています。その理由の一つに、働く貧困層との均衡をはかるためというものがありますが、このような議論には大きな問題があるでしょう。まともな生活が出来ないフリーターたちの低賃金こそが問題なのであって、ここを改善しない限り、今日の格差問題・貧困問題の解決の糸口は見えないのではないでしょうか。

ホームレスへの偏見と取組み

  • 2006年11月25日 朝日新聞 大阪 野宿人生、児童と語る 「同じ人間、肌で感じて」
  • 2007年1月9日 朝日新聞 大阪 社説 野宿者襲撃 社会のまなざしが透ける
  • 2007年1月18日 日本経済新聞 大阪 夕刊 「屋根の下で住む権利」保障 ホームレス対策行政に住宅提供義務
  • 2007年1月26日 朝日新聞 大阪 夕刊 路上の哀歓ホームレスバンド 中年男性5人に若手女性が協力 手には鍋ぶた・フライパン・・・
  • 2007年2月19日 毎日新聞 大阪 ホームレス問題全国調査 仕事続けられる支援必要
  • 2007年2月2日 読売新聞 大阪 未来世紀ニシナリ 労働者、ホームレス、支援者たちの今 ドキュメンタリー完成 2年かけ支えあう姿追う

<まとめ>

ホームレス問題は、近代以前から存在しますが、今日大きな政策課題としてクローズアップされる背景には、バブル経済崩壊以降の平成不況の下で、中高年労働者の働き口が減少し、失業が長期化したことが挙げられます。2002年には「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が制定され、この法律に基づいて2003年に行われた初の実態調査では、25,000人を超える人々がホームレス状態にあることが明らかになりました。

このような状況のもとで、野宿生活者を襲撃する事件がにわかに増加しました。子どもたちや若者たちによって花火や石が投げ込まれる事象などは日常茶飯事であり、中には暴行を受け、殺害される事例も発生しています。その背景には、「ホームレスになったのは自業自得だ」という大人たちの意識を子どもたちが敏感に受け止め、「あの人たちには何をしてもいい」という考え方を持つに至っているものと思われます。公的機関によるブルーシートの強制撤去も、こうした意識を強める効果をもつものと思われます。他方で、襲撃をしている子ども達もまた、学校や社会から脱落しつつある場合が多く、自らの逼塞感をさらに弱い人たちに向けていることも考えられます。

こうした事態を改善するためには、野宿生活から抜け出せる仕組み、とりわけ継続的に働きつづけられる仕組みが求められますし、前向きに生きていける多様な支援が重要です。他方で、ホームレスの人たちに対する子ども達の偏見を和らげるために、当事者たちの実際の生活実態に迫っていくという人権教育の取り組みが不可欠でしょう。また、大人たちに対しても、ホームレス問題に対する適切な理解を深める啓発が求められます。

CSR関連の取組み

  • 2006年11月24日 日本経済新聞 大阪 夕刊 生活コミュニティー 手結び社会貢献 NPOと中小企業連合
  • 2007年1月8日 読売新聞 大阪 ユニバーサルツーリズム 障害者高齢者気軽に旅行を 
  • 2007年1月8日 産経新聞 大阪 途上国支援「フェアトレード」神戸の名物店閉店
  • 2007年1月10日 日本経済新聞 大阪 スモールBIZ 第5部大したもんや米国 有機茶利益で社会貢献
  • 2007年1月11日 毎日新聞 大阪 付添人費用など補償 
  • 2007年2月1日 日本経済新聞 大阪 夕刊 フェアトレード注目高まる 衣料品・雑貨から菓子まで 途上国 商品買って応援

<まとめ>

 2003年以降、経済的利益の向上のみならず、環境への配慮や社会的な公正さを事業に反映する「企業の社会的責任」(CSR)の取り組みが、企業社会において広がっています。日本では、法令遵守(コンプライアンス)や社会貢献活動というイメージが強いですが、CSRの本旨は、各企業の本来業務を進める際に、それらの配慮を組み込んでいくということにあります。その点では、まだ十分に浸透しているとはいえない状況ではありますが、少しずつ広がりつつあるといえるでしょう。

 障害の有無に関わらず、誰もが使いやすい財やサービスを開発するという「ユニバーサルデザイン」の事例は多く、観光業界でも、宿泊施設や輸送業者が、障害者支援団体と協働して推進する「ユニバーサルツーリズム」の取り組みがすすめられており、重度の障害がある人でも旅行を楽しめるように総合的なコーディネートを行っています。保険業界では、知的障害のある人が入院する際の付添い人費用を補償する団体傷害保険を開発する企業もあります。また、発展途上国の貧困問題を、生産者の自立を支援することで解決しようという「フェアトレード」の取り組みも、小規模な団体のみならず、大手スーパーにも普及しています。他方で、大手の団体などが作り手の力量を超えた大口注文をして無理に作らせるなどの課題も生じているようです。

児童虐待関連

  • 2006年12月13日 日本経済新聞 大阪 児童虐待「調査が必要」207件 立ち入り、6割が警官同行
  • 2007年1月9日 毎日新聞 大阪 児童虐待防止法改正 親権停止の根拠に
  • 2007年1月20日 日本経済新聞 大阪 児童虐待通報48時間以内に安否確認 厚労省、相談所指針改定へ

<まとめ>

近年、児童虐待防止法が制定され、通報件数が急増していますが、その中で立ち入り調査等に対する「親の抵抗」が焦点化されてきています。被虐待児童の迅速な安全の確保を考える時、不必要な「親の抵抗」は可能な限り円滑に回避されるべきだと考えられます。その一環として「親権の停止」が検討されています。

しかし、他方で検討すべきことが欠落しています。それは、児童虐待に至ってしまう親の置かれている社会的状況が全く顧みられていないことです。例えば住居の狭さ、仕事や収入の不安定さ、子育てへの不安や知識の不十分さ、周辺からの孤立した人間関係、などがあり、これまで児童相談所はその支援のために多くの苦労を重ねてきています。その部分をどう強化し、児童虐待に至らないような環境をどう作っていくのかの議論がほとんどない状況です。このままでは、児童相談所と虐待をした親との関係も、信頼関係より敵対関係のほうが強まりかねないのではないかと危惧されます。

DVの深刻化

  • 2006年12月30日 読売新聞 大阪 虐待やDV被害者の自立 身元保証人確保で支援 厚労省来年度から
  • 2007年1月5日 朝日新聞 大阪 DVから逃れ、戸籍のない高校生 修学旅行の旅券申請保留
  • 2007年1月28日 毎日新聞 大阪 駆け込み施設「HELP」 受難に立ち向かい再起した女性たち
  • 2007年1月29日 朝日新聞 大阪 減らぬDV 対策進むのか
  • 2007年1月29日 日本経済新聞 大阪 DV被害者 「追跡された」54%
  • 2007年2月3日 日本経済新聞 大阪 夕刊 DV被害者の自立支援 政府が身元保証 就職や転居損保を活用

<まとめ>

2001年に成立した「DV(ドメスティック・バイオレンス)防止法」は3年おきに改善が検討されることになっています。特に、保護命令の対象者の拡大がこの間の大きな改正内容で、当初、事実婚も含めた配偶者だけであったのが、2004年改正では、被害者の子どもや元配偶者も対象になりました。2007年には、恋人からのさまざまな被害や被害者保護に対し在留資格を問わないこと等が、被害女性を支援するNPO「全国女性シェルター」から提起されています。しかし、関係省庁は慎重な立場をとっています。

しかし、相談件数は2005年に5万2千件で過去最多となり、2006年度上半期もそれを上回る件数となっており、法のより一層の実効性の確保が求められています。

フランスの人種差別

  • 2006年11月27日 産経新聞 大阪 大暴れのサポーター射殺 若者襲撃「汚いユダヤ人」制止の警官に「汚い黒人」その数150人
  • 2006年12月23日 朝日新聞 大阪 世界初2006 小数者配慮へ変わる仏 昨秋のパリ郊外暴動きっかけ
  • 2007年2月4日 読売新聞 大阪 移民社会フランスの危機  差別是正の方策探る

<まとめ>

2005年10月、警官の無理な追跡により、移民の青年が感電死した事件をきっかけに、アフリカ系やアラブ系の若者たちによる抗議の暴動が発生しました。その背景には、「国民の単一不可分性」や「厳格な政教分離」といった、フランスの「共和国モデル」に基づく同化政策のもとで、旧植民地出身者に対する社会的排除や差別の存在が隠されてきたことに対する、移民たちの苛立ちや怒りが横たわっています。また、フランスにおいても人種差別を正当化する「人種主義」や「反ユダヤ主義」は根強く、サッカー・チームのサポーターである極右グループが、暴行事件や選手に対する誹謗中傷を繰り返しています。

 このような状況に対しては、従来の「共和国モデル」が限界に達しているという指摘があり、政府・地方自治体も、少数者配慮への転換を模索しています。シラク大統領は放送業界に対して少数者の登用を要望しましたし、モスク建設の助成を行う自治体も出てきています。さらには、雇用・教育でも積極的な是正が行われつつあります。失業率などの実態的な格差については、これまで人種・民族別の統計を行ってこなかったため、依然として不明な部分が多いわけですが、マイノリティ対象の意識調査を実施するなどの動きもみうけられます。フランスにおいても、多様性を反映した政策の立案が求められています。

インドの被差別カースト

  • 2007年2月1日 読売新聞 大阪 興隆インド 被差別カースト 教育でなりあがれ
  • 2007年2月1日 読売新聞 大阪 興隆インド 政府の下位層優遇策 「逆差別」叫ぶ声強く

<まとめ>

 ヒンドゥー教に基づくカースト制度は、独立後のインド憲法において禁止されているにもかかわらず、今日においても深刻な社会的差別を引き起こしています。特に、アウトカーストであるダリットの人たちに対する差別実態については、国際連合における「職業と世系に基づく差別」に関する調査研究でも、経済格差や教育問題、さらには偏見に基づく暴力行為の頻発など、様々な課題が明らかになっています。さらには、上位カースト出身者が多数を占める大学において、低位カースト出身者に対する教員によるあからさまないじめが行われています。

 このような差別実態に対して、インド政府は、国立大学入学や公務員採用などにおいて、優先枠を認めており、2006年にはダリット以外の下位カーストについても新たに優遇枠を設ける方針を打ち出しました。こうした積極的差別是正措置は、格差是正のために重要な役割を果たしています。

 しかしながら、今日の経済成長のもとで、都市部においてはカーストより個人の能力が重視されるにいたり、下位カーストの社会進出に危機感を募らせる上位カーストが、深刻な差別の実態に目を向けることなく、かかる優遇措置に対して「逆差別だ」として抗議しています。しかし、社会において深刻な差別の実態がある以上、低位カースト出身者が安定した生活を送るためには、多大な努力が必要であることを考える必要があるでしょう。