「国際人権条約と国内判例(4)」として、養父知美・弁護士より「接見交通権」にかかわっての報告がされた。
具体的には、「徳島刑務所職員から暴行を受けた受刑者より、国家賠償請求事件に委任を受けた弁護士との接見の制限(原則月1回30分、刑務官の立会)と自由権規約14条1項」との関係が争われた事件に焦点をあてて報告された。
監獄法45条は受刑者の接見は親族以外原則禁止、監獄法施行規則121条は接見時間を30分以内、124条は刑務所長の裁量権、を認めている。争点としては、これらに対し、<1>自由権規約が直接適用されるか、<2>自由権規約14条1項の保障範囲、そして<3>事実関係への評価、の3点であった。
<1>に関しては、弁護団が規約人権委員会1981年10月・第1回審査記録(『部落解放研究』29号掲載)で「日本代表が自由権規約の国内法より優位と直接的用」を明言している事を主張するなど、詳細な論を展開したこともあり、徳島地裁(『判例時報』1597号)、高松高裁(『判例時報』1653号)共に、自由権規約の「国内法としての直接的効力、しかも法律に優位する効力を有する」という判断をした。
<2>に関しても、徳島地裁と高松高裁は、ヨーロッパ人権条約の運用や「非拘禁保護原則」や規約人権委員会の判断状況を検討した上で、自由権規約14条1項は、民事事件の場合でも弁護士との接見権を保障しており、接見時間と刑務官の立会いの許否は一義的に明確ではないが、打合せに支障をきたすような制限は許されない、とした。
<3>については、徳島地裁は接見時間の制限に対する刑務所長の過失を認め、裁量権の範囲を限定的に解釈したが。しかし徳島高裁は2回の接見を除き時間制限や職員立会いは問題ないとした。
これに対し最高裁は、自由権規約との関係では「監獄法及び同法施行規則の接見に関する条項については、B規約14条に違反すると解することもできない」と形式論の判断をしただけで、後は事実関係を受刑者に対する厳しい判断をもとに、刑務所長の判断に違法性はない、としている。
質疑では、弁護団の意識的な取り組みもあって、最高裁を除き、自由権規約に対する比較的理解を示す判断が出てきていること、受刑者に対する厳しい見方があること、それが最高裁の判断に一番端的に現れていること、などが意見交換された。