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法律・狭山部会・学習会報告
2002年9月5日
国際人権条約と国内判決(6)

桜井 健雄 (弁護士)

桜井健雄・弁護士より「国際人権条約と国内判決(6)―国家公務員の争議権を中心に」について報告があった。

検討対象となった判決は、期間的には1974年から1998年の20件におよぶ。この内、14の事件では、ILO 87号条約は主張の根拠に活用しているが、人権規約は主張されていない状況である。

比較的、人権規約も活用している事例として、全林野川内営林署事件(東京高裁1986年8月14日判決)が紹介された。ここでの組合側の主長は、(1)ILO98条約でいう「公務員」は、仏文テキストではなく英文テキストにも とづき高級公務員と考えるべきであること、(2)争議行為の概念はストライキの他に、怠業、怠業的行為など業務の正常な運営を阻害する行為を含むものであり、人権規約(社会権規約)八条1項C号(労働組合活動の自由の保障)やILO87号条約3条の規定からして、ストライキ以外の争議行為を一律全面的に禁止することはおかしいし、人権規約8条2項のストライキの合法的制限と理解することもできない、という内容であった。

これに対し高裁判決では、(1)「公務員」を高級公務員と限定する解釈は定着していない、(2)人権規約に基づく主張も、「公務員」を限定する解釈は定着していないので、理由がない、(3)ILOの委員会・会議の勧告、報告、決議は法的拘束力はなく確定した国際基準ではないので、「公務員」の解釈に対する組合側の主張は認められない、という趣旨の内容であった。

報告後の意見交換の中では、全体的な印象として、人権規約の主張もさることながら、ILO条約に関連した結社の自由委員会などの勧告などがどれだけ有効的に主張されたのか、あるいはILOに関する情報がどれだけ国内で紹介されているのか、が検討課題としてあるのではないかと議論された。

この後、藤本晃嗣・大阪大学大学院生から「自由権規約第19条(表現の自由)3項の制限条項の関する審査基準―規約人権委員会の個人通報制度における実行―」について報告がされた。これについては、後日、詳細を報告する。

(中村 清二)