昨年の衆議院解散を受けて自然廃案となった人権擁護法案に関わって、それまで部落解放同盟がどのように取り組んできたのか、そして今後どのように取り組んでゆくのかについて、2004年2月3日の部落解放・人権政策確立要求中央集会基調を素材として、報告を受けた。
人権擁護法案閣議決定・国会提出後の解放同盟の動き
2002年3月8日に、人権擁護法案は閣議決定を受けて国会に提出されたが、間をおかずして解放同盟は組坂委員長の談話を発表し、人権擁護法案について明確に反対する意思を表明した。その主な論点は、設置が予定される人権委員会の独立性・実効性の面で極めて問題があること、メディア規制が含まれていること、そして地方人権委員会の設置が予定されていないこと、の3点であった。
その後、法務省や与党関係者との折衝を重ねたが、提示された修正案は解放同盟の求めるものにおよそ到達するものではなかった。昨年の衆院解散により廃案となったが、その後政治情勢が大きく変化している。
現在の情勢
現在の到達点としては、次の4点を指摘することができる。まず第1に、人権擁護法案の問題点について批判を加えていくことにより、抜本修正にむけた政治的・社会的世論を形成することができたこと、第2に、人権侵害救済法制の必要性については、国会レベルでも政治的な合意が形成できたこと、第3に、与野党修正協議がもたれるなど、修正への機運を作り出すことができたこと、そして第4に、各人権条約機関等が日本政府に対して懸念・勧告を表明するなど、国際的な関心を高めることができたこと、である。
この到達点を背景として、救済法制に関する新規立法を行うべき3つの責任(人権擁護推進審議会答申に基づく政府責任、人権条約機関勧告に基づく国際的責務、与野党修正協議における合意事項に基づく政治的責任)をてことして、新規立法制定に向けた運動を展開する必要がある。
新規立法運動の基本方向
まず重要であるのは、これまでの人権擁護法案の焼き直し法案再提出を封じるために、運動側として、地方人権委員会構想を含めて「人権侵害救済法」の具体案を早急に検討・作成し、各界の意見を集約し、院内外での英知を結集しながら、かかる法律を制定する運動を展開することである。
同時に、超党派の国会議員の結集を促し、人権侵害救済法を求める世論を高め、さらに地方人権委員会設置の具体的な構想を推進し、差別撤廃・人権条例を策定する自治体間のネットワーク化を推進し、実効的な人権確立体制の構築を追求する必要がある。