-------------------------------------------------------------------------
続いて、寺木報告を受け山本尚友氏から「中近世移行期研究の視覚」というテーマで報告がなされた。
山本氏からは、これからの部落史研究においては移行期研究の果たす役割が、大きな比重を占め、かつ重要な意義があるということが指摘された。そのなかで山本氏は、第1に、かつて黒田俊雄氏によって提唱された中世非人論を中世部落史研究の基軸に据えそれを発展・継承していくこと、第2に、各権門による賤民集団の系列化と集団の分化、という2つの視点を基調として重視していくべきであるとの認識を示された。
また、ある特定された史観から歴史を読みとるのではなく、あくまでも史料に基づく歴史事実の積み重ねが重要であり、そのなかから歴史像は形成されていかなければならないとの指摘があった。
そして今後の課題として、集団化を遂げることのなかった隠亡・鉢叩・ささら説経といった賤民の実態の解明や、集落を形成しなかった賤民の研究、さらには「被差別部落史」から「賤民史」へという枠組みの組み替えが必要になってくる、との報告があった。
山本報告の後、当日出席した参加者からいくつかの質問・疑問が出され、報告者と討論が行われた。