昨年末、岩田書院より出版された山本尚友氏の大著『被差別部落史の研究』を取り上げ、寺木伸明氏、山本尚友氏の2人を報告者に迎え、秋定嘉和氏を司会にして進められた。
まず、寺木伸明氏から「山本尚友著『被差別部落史の研究』を読む」として、報告があった。はじめに山本氏の経歴の紹介と本書の構成・内容が紹介され、続いて本書の特長・意義として次の5点が指摘された。
寺木氏によれば、本書の特長と意義は、第1に、古代から中世、中世から近世といった、それまで研究が比較的手薄であった移行期に焦点をあて、「賤民史」の実態を解明しようと試みたこと、第2に、部落寺院成立史の研究において、部落寺院の宗派のほとんどが浄土真宗であったのは、なにも幕府の宗教統制の結果によるものではないことを明らかにしたこと、第3に、部落寺院の地域別による類型化を図ったこと、第4に、全国的な視点から部落寺院の本末関係を明らかにしようとしたこと、第5に、類型別に部落寺院の成立過程を究明した結果、真宗系の部落寺院の開基年代が中世にまで遡る事例が少なくないこと、などである。
なかでも部落寺院史の研究は、これまでの研究水準を大きく引き上げたものとして高く評価されるべきものであることが指摘され、最後に本書に対する若干の批判と疑問が述べられた。