| 横田報告では、本年6月に人権委員会から人権理事会へと、人権問題を扱う国連における主要な機関が変更され、その後の「職業と世系に基づく差別」に関する特別報告者の位置付けに関する報告がなされた。まず、国連における当該問題に関する経緯について具体的な報告書の内容や人権小委員会とその親組織である人権委員会の動向も含めた報告があった。
とくに、当問題が研究の最終段階に差し掛かっていること、本年の人権小委員会へ提出した中間報告書の内容(1.職業と世系に基づく差別の定義、2.当該差別に対する国内規範と国際規範、3.昨年各国へ提出したアンケートの回答、4.原則と指針、5.勧告)が説明された。ついで、人権理事会における今後の役割に関して、これまでの人権小委員会や人権委員会で実践されてきた調査や研究の方法と比較した報告があった。そこで、これまで経済社会理事会の下部組織であった人権小委員会や人権委員会とは異なり、総会の下部組織として設置された人権理事会は、国連の加盟国に対する影響が強くなったことが評価された。
また、先住民の権利宣言草案や障害者の権利条約草案が採択されたことも大きく評価された。一方、合理化や効率化のために、これまで研究、調査されてきた人権問題の継続的な議論が今後、打ち切りになる可能性があることに懸念が示めされた。また、人権小委員会と人権委員会はこれまで国家の代表のみでなく専門家が関与することで実証的、客観的な研究結果を生み出してきた。これらの委員に代わり、人権理事会では政府の役人、特に大
使や公使が委員となり、問題解決のための中心的役割を担う。しかし、これら政府役人の多くは、これまでの人権問題を扱う主要機関における調査、研究の経緯を理解していない人が多く、そのことも合理化や効率化を進め人権問題の継続的議論を縮小する傾向を助長させる要因になるという懸念が示された。最後に、来年の6月末までに報告書をまとめ、人権理事会において議論が継続されるように準備する必要があることが強調された。
(文責:友永雄吾)
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