調査研究

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2007.01.16
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職業と世系に基づく差別」に関するプロジェクト
2006年10月15日
現代韓国人の旧『ペクチョン』出身者に対する意識状況について

徐知延・徐知伶(桃山学院大学博士後期課程)

 徐知延さんの報告では、彼女が今夏、韓国の都市部を中心に実施したアンケート調査の結果に基づき、韓国社会における白丁に対する社会意識の現状を明らかにした。アンケートは2006年8月22日から9月30日にかけて、釜山(プサン)、慶尚南道、慶尚北道を中心に実施された。

 また調査対象者は10代から50代までの218名であった。質問の大まかな内容は、白丁という言葉に対する認識や白丁出身者との結婚に関する意識に関する質問が中心であった。白丁という言葉の質問に関する各世代からの返答は、その多くが悪口に使用されているとして認識しており、その認識の多くはメディアを介したものであることが回答されている。結婚に関する質問については、親世代が未だ白丁出身者との結婚に対し反感意識を持っていることが報告された。

 アンケート調査報告の後、徐知伶さんからインターネット、テレビ、映画、新聞などのメディアにおいて、白丁がどのように扱われているかが報告された。それらメディアにおける表象は、白丁が犯罪者の処刑を担うマンナニという役で、首を駆る刀(「神の杖」とも言われる牛刀)が強調されていることに共通点があること、また、ある人物を非難する際に「人間白丁」といった表現が使用されているとの報告があった。

人権小委員会『職業と世系に基づく差別』の撤廃に関する特別報告者の取り組みの現状と今後の課題

横田洋三(中央大学教授)

 横田報告では、本年6月に人権委員会から人権理事会へと、人権問題を扱う国連における主要な機関が変更され、その後の「職業と世系に基づく差別」に関する特別報告者の位置付けに関する報告がなされた。まず、国連における当該問題に関する経緯について具体的な報告書の内容や人権小委員会とその親組織である人権委員会の動向も含めた報告があった。

 とくに、当問題が研究の最終段階に差し掛かっていること、本年の人権小委員会へ提出した中間報告書の内容(1.職業と世系に基づく差別の定義、2.当該差別に対する国内規範と国際規範、3.昨年各国へ提出したアンケートの回答、4.原則と指針、5.勧告)が説明された。ついで、人権理事会における今後の役割に関して、これまでの人権小委員会や人権委員会で実践されてきた調査や研究の方法と比較した報告があった。そこで、これまで経済社会理事会の下部組織であった人権小委員会や人権委員会とは異なり、総会の下部組織として設置された人権理事会は、国連の加盟国に対する影響が強くなったことが評価された。

 また、先住民の権利宣言草案や障害者の権利条約草案が採択されたことも大きく評価された。一方、合理化や効率化のために、これまで研究、調査されてきた人権問題の継続的な議論が今後、打ち切りになる可能性があることに懸念が示めされた。また、人権小委員会と人権委員会はこれまで国家の代表のみでなく専門家が関与することで実証的、客観的な研究結果を生み出してきた。これらの委員に代わり、人権理事会では政府の役人、特に大

 使や公使が委員となり、問題解決のための中心的役割を担う。しかし、これら政府役人の多くは、これまでの人権問題を扱う主要機関における調査、研究の経緯を理解していない人が多く、そのことも合理化や効率化を進め人権問題の継続的議論を縮小する傾向を助長させる要因になるという懸念が示された。最後に、来年の6月末までに報告書をまとめ、人権理事会において議論が継続されるように準備する必要があることが強調された。

(文責:友永雄吾)