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03.08.11
<部落解放・人権教育啓発プロジェクト>
 
部落解放・人権教育啓発プロジェクト
2003年7月14日
「人権教育のための国連10年」の総括の視点
〜大阪府行動計画を中心に

(報告) 龍野 幸一(大阪府人権室)

はじめに

 2004年12月末で「人権教育のための国連10年」(以下、『国連10年』)の取り組みがいったん終わる。大阪府の行動計画を中心に、この取り組みの評価をどう考え、次の計画につなげていけばよいのか、現時点で考えていることを報告する。

なお、この報告はあくまでも個人のものである。

1.「国連10年」が行政にもたらしたもの

「国連10年」は行政にどのようなインパクトを与えたのか。4点にわたって考えてみたい。

  1. 「法的枠組み」について。「国連10年」そのものは法的な計画ではなかったが、人権教育・啓発法という法律も用意された。また、大阪府においても、人権条例という形で法令上の根拠が整備されてきた。これらによって、人権教育・啓発の重要性が、住民にとっても非常に、明確になった。

  2. 「組織」について。従来、「人権啓発」を担う部門が明確にされていなかったが、大阪府の場合、人権室という組織ができて横断的に取り組む推進母体が作り上げられてきた。

  3. 「施策の軸」について。「国連10年」の行動計画を軸にしてそれぞれの部局がやっているいろいろな仕事を人権の視点で横につなぐことが可能になった。

  4. 「啓発の内容・手法」について。従来、リーフレットやパンフレットを配るという手法が中心であったが、「国連10年」の中で、この間、参加体験型を取り入れたりするなど、手法も相当、改善されてきた。

2.大阪府行動計画の総括をどうするのか

 現在の行動計画には、達成目標が2つある。1つは、「10年の趣旨及びこの行動計画の内容が各方面にくまなく浸透すること」である。中間年度(2000年)の見直しの際、その認知度を調べているが、20%弱であった。後期行動計画においても、その趣旨の浸透が目標に挙げられている。

 もうひとつの目標が、「最終年(2004年)には、人権という普遍的な文化が確立されるレベルに達すること」であるが、人権という普遍的な文化がこの社会に確立されたということをどうやって測るのか、非常に難しい問題になっている。

 次に「評価の対象範囲」の問題がある。たとえば、庁内の人権教育の推進体制やその内容等、府内部のことについては、調査もしやすい。一方、市町村や民間の取り組みを一体どこまで府が評価できるのかという問題がある。とりわけ、民間企業の取り組みをどこまで、どのようにして評価をすればよいのかという問題がある。

 さらに、「評価の手法・ものさし」をどう考えるのかという問題もある。当然、数値で評価できるものもあれば、できないものもある。たとえば、人権教育教材がどれぐらい増えたのか等は、数値で評価できるが、それによって人権教育を受けた人が「日常生活においてどういう行動をとったのか」ということになると、とても数字では評価できないだろう。府の行動計画を点検・評価する際には、国連のフォローアップ項目も参考にしつつ、数値目標を立てられるものについてはなるべくたくさん出していこうと考えている。

 「人権教育の内容」については、例えば、人権教育の四側面ごとに、「国連10年」が始まってから、現状ではどこまで伸びているのかを把握できないかと考えている。また、中間年の見直しの際に、いろんな団体から見直しの視点をいただいた。「人権について」の教育が多すぎるのではないかという意見もいただいた。それでよいのかどうか検討していかなければならない。

 もうひとつ大きな問題点は、この後期行動計画の策定(2001年3月)後に、見過ごすことのできない要素がいくつかある点だ。

 一つは、2000年実態調査の結果である。この中で「人権教育と忌避的態度の相関関係」等の指摘がなされている。2000年実態調査の結果から見えた啓発課題に照らして、計画をどう見直していくのかを考える必要がある。 

 また、国は人権教育・啓発法の基本計画の中で、国としての今後の取り組みの考えもまとめている。それを受けて、大阪府でも基本計画を作っており、そこで述べられている人権教育・啓発の今後の考え方との整合をどう図っていくのかも総括の中では大きなポイントである。

 また、日常の人権問題が次々と生起する中で、人権教育・啓発の講座、研修が、どの程度タイムリーに実施されてきたのかという点も見る必要がある。とおりいっぺんの、昔ながらの啓発講座ではなく、いろんな問題にうまくヒットしたような形でどれぐらいやられてきたのかも押さえていく必要がある。

 このようなことを評価した上で、結果として人権状況はよくなっているのか悪くなっているのか、何が足りていて何が不足しているのかをまとめる必要がある。こういった作業を経て、次の新たな後継計画を作っていくことになる。

3.後継計画の策定

 後継計画の策定に関わって、いくつかの論点がある。まず「位置付け」について。第2次「国連10年」ができたときに、そのまま引き継いで大阪府の「国連10年」とするのか。国連が、事情があってやらないとなった場合、大阪府は人権教育・啓発法に基づく計画と位置付けることになるが、そのときに、計画の期間を5年にするのか何年にするのかということが議論になるだろう。

 「対象範囲」について。大阪府の人権条例ができたとき、大阪府の人権施策というのは二本柱であり、一つは人権意識の高揚に関する施策、もう一つは人権擁護に資すること、この両輪をもって人権施策と呼ぶという位置付けをした。後継計画の中で、人権擁護に関わる施策について、どのように取り組むのかどうかが論点になる。国の人権擁護法案の動向を十分見てから、府としての人権擁護施策の考え方ができあがってくるだろう。

 最後に、策定体制について。人権啓発推進本部を人権施策推進本部と名称も変え、メンバーも拡充した。この人権施策推進本部の下で府としての原案を作成していく。その際、「国連10年」推進懇話会のほうにも意見を伺いつつ、小委員会を立ち上げて議論をおこなっていく。来年3月には計画の素案までこぎつけて、夏にはパブリックコメントにかけ、最終的には来年末ぐらいには計画を作るスケジュールで考えている。

(文責・事務局)