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2006.10.24
 パネルディスカッション終了後、内閣総理大臣及び外務大臣宛てに「多文化共生社会の実現を求める要望書」を採択されました。 (以下要望書全文)

内閣総理大臣 殿
外務大臣 殿

多文化共生社会の実現を求める要請書

―人種主義等に関する国連特別報告者による日本公式訪問報告書を受けて―


 現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する特別報告者であるドゥドゥ・ディエンさんによる日本公式訪問報告書(ディエン報告書)が国連に提出され、人権理事会第2会期で取り上げられています。

 ディエン報告書は日本政府に対し、被差別部落の人びと、アイヌ民族、沖縄の人びと、日本の旧植民地出身者とその子孫、外国人・移住労働者などに対する人種差別の存在を公式に認め、それを撤廃する政治的意志を表明することや、被差別集団の実態調査の実施、差別を禁止する法律の制定や問題に対処するための国内機関の設置、歴史教科書の見直しなど、24項目にわたる包括的な勧告を提示しています。

 私たちは、ディエン報告書は、日本における人種主義・人種差別・外国人嫌悪の問題を、法的側面にとどまらず社会的・歴史的文脈にまで踏み込んで包括的に捉えた初めての国連文書であると認識し、これを歓迎します。同報告書は、日本社会には「見えなくされてきた人びと」「存在をきちんと知らされてこなかった人びと」が確かに存在し、そのことを社会的・歴史的背景を含めて認識し、適切な方策を講じることなしに、多文化共生社会の構築は不可能であると主張しており、その点に大きな価値があります。私たちは、同報告書を契機として、日本政府を含むあらゆる主体が「異なる他者」の存在を再認識し、それらの人びとが直面する現状と、その背景にある社会的、経済的、政治的構造ならびに歴史や固有の文化について理解を深めることを期待しています。

上記の観点から、私たちは日本政府に対し、以下のことを要請いたします。

  1. ディエン報告書が勧告しているすべての事項を実現するためにあらゆる措置をとること。
  2. 日本政府が現在作成している人種差別撤廃条約第3・4回政府報告書に、ディエン報告書が勧告しているすべての項目についての履行方針を反映すること。
  3. 上記2点を含む、人種主義・人種差別の撤廃に関するあらゆる法制度の立案、検討、実施、評価の過程において、マイノリティ当事者や人種差別撤廃に取り組むNGOとの協議を確実にすること。

現在の日本社会はマイノリティに対する理解の欠如のうえに成り立っており、政府も、圧倒的な多数を占めるマジョリティに属する人びとも、差別される側の痛みを理解していません。このため多文化主義の危機と排外主義の蔓延をもたらしています。私たちは、こうした現状認識とそれに基づく政策があって初めて、日本社会が多文化共生社会の構築に向けた第一歩を踏み出すことができると信じています。

2006年9月25日

第15回ヒューマンライツセミナー参加者一同
第15回ヒューマンライツセミナー実行委員会