|
|||
事業報告
|
|||
2001年度事業報告 2001年度研究所事業の概要を、以下17点に整理して報告します。 (1)「人権教育・啓発推進法」の普及・宣伝と「基本計画」の策定に向けた取り組み 「人権教育・啓発推進法」の普及・宣伝とこの法律に基づく「基本計画」の策定に向けた取り組みを実施しました。具体的には、2001年6月1日に開催された「基本法」の集会に向けて集会資料『「人権教育・啓発推進法」をいかに活用するか−基本計画の策定を中心に−』の編集に協力するとともに、ブックレット58『いかそう人権教育・啓発推進法』(2001年9月)を発刊しました。 また、第32回部落解放・人権夏期講座や第16回人権啓発研究集会など各種講座や集会のテーマにこの課題を取り上げました。さらに、2001年12月20日、法務省と文部科学省から国の「基本計画(中間取りまとめ)」が公表されましたが、これに対するコメントを作成するとともにパブリックコメントの送付活動に取り組みました。この結果、研究所事務局が把握しているものだけでも4団体、17個人からパブリックコメントが送付されました。 3月15日に「人権教育・啓発基本計画」が閣議決定されましたが、パブリックコメントが反映されていないものとなっています。今後、この「基本計画」を批判的に活用していくとともに、自治体や民間レベルで国の「基本計画」を上回るものが策定されるよう各方面に働きかけていく必要があります。 (2)「人権擁護法案」にちなんだ取り組み 2002年3月8日、「人権擁護法案」が閣議決定され、現在国会審議が行われています。各方面から指摘されているように、この法案は国連総会で採択された「パリ原則」を踏まえたものとなっていません。このため、研究所としても事務局を担当しているマイノリティ研究会や人権部会等でこの法案にちなんだ研究を実施しました。また、第32回部落解放・人権夏期講座等でこの問題を取り上げるとともに、雑誌『ヒューマンライツ』(No.157・160・162・167)でもタイムリーな企画を行いました。引き続き、パリ原則を踏まえた救済機関が設置されるための取り組みを継続していきます。 (3)「地対財特法」期限切れ後を見越した取り組み 2002年3月末をもって「地対財特法」が期限切れを迎えました。研究所としては、「地対財特法」期限切れ後の「同和行政」、「人権行政」の方向を明確にするために「人権条例の比較研究プロジェクト」を立ち上げ、精力的に例会を積み重ねてきました。また、2002年4月5日現在740に及ぶ人権条例が採択されていますが、その収集を行いデータベース化し、逐次ホームページで紹介しています。 今後、一般施策の活用・創造、人権のまちづくりにちなんだ研究を強めていく必要があります。 (4)国連の差別撤廃・人権確立を求めた取り組みとの連携 2001年8月28日から9月8日まで、国連主催で南アフリカのダーバンで開催された反人種主義・差別撤廃世界会議に代表を派遣するとともに、この世界会議に向けて「日本の部落差別」と「インドのダリットに対する差別」に関するパネルと冊子が作成されましたが、これに協力しました。 また、昨年8月、国連・社会権規約委員会が日本政府から提出されていた第2回報告書の審査を行い最終所見を採択しました。さらに、同時期に開催された国連・人権小委員会でグネセケレ委員から南アジアと日本における「職業と世系(門地)に基づく差別」に関する報告が提出されましたが、これに対しても資料提供等の協力をしました。 なお、ダーバンで採択された「宣言」「行動計画」、社会権規約委員会の最終所見、グネセケレ報告等には、いずれも部落問題の解決に役立つ項目が含まれているため冊子『差別撤廃を求めた国際潮流と連帯し、部落差別撤廃の取り組み強化を!』(2001年10月)を編集・発刊しました。なお、本年8月の人種差別撤廃委員会では人種差別撤廃条約第1条に含まれているdescent(世系/門地)に関するテーマ別討議が行われ一般的見解がまとめられることとなっていますが、研究所としてもこれに協力していきます。 (5)調査・研究活動の状況 2001年度の調査・研究活動のうち、大阪府・大阪市の助成を受けて実施したものは、以下の通りです。
部会などを基礎にしたプロジェクトとして実施したものは、以下の通りです。
なお、第7回全国部落史研究交流会は「瀬戸内領国賤民制の構造と特質」、「水平社創立以前の部落改善運動の動向」をテーマに香川で開催されました。 この他、マイノリティ研究会の事務局を担い、人種差別撤廃条約や人権擁護法案にちなんだテーマを設定し4回の会合を開催しニュースを発行しました。 (6)一連の講座や集会の開催状況 研究所が主催、又は実行委員会の事務局を担って開催した講座や集会の開催状況は、以下の通りです。
この内、第32回部落解放・人権夏期講座は直前に台風が来襲するという事態に遭遇しましたが、関係各位のご尽力で参加者は若干減少しましたが予定通り開催することができました。 また、第26回部落解放・人権西日本夏期講座については、当初予定していた開催地が諸般の事情で開催できなくなりましたが、関係者の絶大なご協力で徳島の地で開催できたことをお礼申し上げます。 (7)定期刊行物、単行本、視聴覚教材等の編集・発行について 2001年度の定期刊行物の発行状況は、以下の通りです。
この内、『部落解放・人権年鑑2001年度版』については編集担当者が途中で亡くなるという不幸に見舞われましたが、編集係を中心に急遽体制を整え、予定通り発刊することができました。お亡くなりになった編集担当者のご冥福をお祈りするとともに、予定通り発刊するために努力していただいた関係者に感謝の意を表します。 単行本、ブックレットについては、以下の編集・発刊をしました。
各方面から委託を受けて編集・発行したものは以下の通りです。
この他、『協働の教育による学校・地域の再生−大阪松原市の4つの中学校区から−』大阪大学大学院人間科学研究科池田寛研究室編・発行につていは、編集協力をしました。 なお、2001年度に増刷したものは8点です。 視聴覚教材としては、ビデオ『もう一人の私−個人情報保護』を作成しました。 (8)出版物(ビデオ含む)の販売状況 販売部門としては部門合計として、前年度比800万円の減収となりました。これはとくに書籍部門の委託売上が落ち込んだことによりますが、おもな要因としては2001年度の新刊点数の少なさが大きいものと考えられます。 逆に視聴覚部門はビデオ『私自身を見て下さい〜固定観念・ステレオタイプ』が好評で前年度に比して売上を大きく伸ばしました。『ヒューマンライツ』は法人会員や企同連関係で売上を微増しています。今後、『ヒューマンライツ』の定期購読者の拡大、単行本の安定した出版、効果的なビデオの制作等の面で努力していく必要があります。 (9)2002年4月の図書資料室のリニューアルオープンに向けた取り組み 2002年4月より図書資料室をリニューアルオープンするため、2001年8月1日より2002年3月31日まで休館とし、書庫の整理、閲覧室の整理、蔵書点検、バーコードの導入、文献データベースの作成(新たに8600件)に取り組みました。また、日本図書館協会、専門図書館協議会に加盟しました。 なお、2001年度は、新刊図書326冊、雑誌165種類、ニュースレター161種類、資料833冊を受け入れました。 (10)ホームページの更新 2001年度は2000年度に比べアクセス件数が月当たり1500件増加して、平均月7500件となっています。これは、<1>情報の定期的更新、<2>他のホームページとのリンク(条例、図書室など)、<3>新規の啓発情報(講演録など)、<4>新規の調査研究事業報告(教育コミュニティ研究会や高校部会、企業部会など)等が背景にあると思われます。 (11)国際連帯の取り組み 2001年度の通常の国際活動としては、以下の取り組みを行いました。
(12)大阪の部落史編纂事業 大阪の部落史編纂事業としては、以下の事業を実施しました。
(13)水平社創立80周年記念事業の実施 2002年3月の水平社創立80周年にちなんだ事業として、以下の取り組みを実施しました。
(14)国際人権大学院大学(夜間)の実現をめざす大阪府民会議への参加 国際人権大学院大学(夜間)の実現に向けて、大阪府民会議の活動に積極的に参加しました。とくに2001年度総会と9回の事務局会議(拡大含む)へ参加しました。 (15)原田伴彦記念基金2001年度事業の実施 原田伴彦記念基金の2001年度事業として、以下の事業を実施しました。
(16)「地対財特法」期限切れを展望した「一般移行」に向けた取組 2002年3月末をもって「地対財特法」が期限切れを迎えるため、「一般移行」に向けて大阪府、大阪市、市町会等と精力的に協議を重ねました。なお、この件は、本年3月に開催された第55回総会で報告し承認を頂いています。 (17)研究所の会員の状況等 研究所の機関活動としては、年4回の理事会(うち1回は臨時理事会)、年2回の総会等を開催するとともに、月1回『研究所通信』を発刊しました。 2001年度研究所の会員の状況については、個人会員882名、法人会員420件でした。特に、関係各位のご協力によって諸般の厳しい状況があるもとでも9件の新規法人会員の入会を頂きました。 |
|||