研究所案内

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2011.01.19

2010年度事業計画

Ⅰ.はじめに

  2008年のアメリカのリーマン・ショックに象徴される実体経済を無視した金融資本主義の破綻、2009年のオバマ大統領の誕生に見られるアメリカ一国主義の転換、そして日本においても民主党政権の誕生というように、戦後国際社会の歴史的転換が大きく始まりだそうとしています。
しかし、2015年までに世界の貧困の半減を目指した国連ミレニアム開発目標の具体化や温暖化防止のためのポスト「京都議定書」の策定といった地球規模の重要な課題でも、一定の前進はあるものの、なお紆余曲折をたどっています。歴史的転換のためには、めざすべき将来像とその道筋の明確化と合意のための対話がますます重要となっています。
人権・部落問題研究の分野でも、同様のことが言えます。
私ども部落解放・人権研究所もこうした歴史的転換点に立っていることを強く自覚し、以下の6点の視点をふまえ、2010年度の事業実施にあたっていきます。
①新センター移転(2010年春)を機に、今後の中期的な「研究所像」のさらなる明確化
②科研費申請のできる「指定機関」の申請(2010年5月ごろ)とそのための条件整備をはかると共に、科研費
などの外部資金を活用した調査研究の企画
③調査研究活動の基本を部門単位で積極的に展開するため、部門別会議と部門担当理事連絡会の充実
④図書資料室の貴重資料のデジタル化と資料の移転・保管先の確保
⑤中期的な財政基盤の検討
⑥公益法人か一般法人かの選択の検討 ~ 2013年6月総会までに方向を決定

 

Ⅱ.各部室等の重点課題
1.総務部                                                                                       

   (1)正(個人)会員の拡大に取り組む。2010年度の最低目標は700名。
(2)特別(団体)会員の拡大に取り組む。2010年度の最低目標は420口。
(3)理事会(年3回)、総会(年2回)を開催する。
(4)研究所通信を2ヶ月に1回発行する。
(5)定期的な職員研修を企画、実施する。
(6)関西学長、人権・同和問題担当者懇談会を開催する(年1~2回程度)。
(7)新春マスコミ懇談会を開催する。
(8)公益法人制度改革に対応した研究所としての方向を決定していく。
(2013年11月30日が移行期間終了日 → 2013年6月の理事更新までには、結論を出す)
(9)その他
・大阪人権センター移転に伴う作業(5月末までに完了する)。

2.企画・研究部                                                                                 

   (1)科研費申請のための「指定機関」申請と科研費申請内容の検討
(2)調査研究事業
[歴史]
①近世大阪人権史研究会(2009~2011年度)
(新)②部落アイデンティティの歴史的研究(2010~2012年度)
[啓発]
①「ケース・メソッド」を活用した企業人権啓発教材研究会(2010年度)
(新)②「部落解放・人権啓発基本方針」の策定(2010~2011年度)
(新)③解放大学のカリキュラム改訂の検討(2010年度)
[人権]
(新)①CSR報告書と人権研究会(2010年度)
[調査行政]
(新)①人権条例ケース・スタディ研究会(2010~2011年度)
②部落出身者の社会的アイデンティティと学歴・職業等地位達成に関する研究(2009~2011年度)
(新)③部落の青年の雇用・生活に関する実態調査<全国>(2010年度)
(新)④部落青年の部落問題認識調査(2010年度)
(新)⑤地域就労支援研究会(2010年度)
[教育]
(新)①人権教育と道徳教育関係性研究会
(新)②全国識字学級活動状況調査(2010年度)
(3)紀要『部落解放研究』の編集(189~191号)
(4)部門別会議 → 啓発、人権、調査行政、教育、歴史
(5)リエゾンセンター(部門担当理事連絡会)
(6)第5回部落解放・人権研究者会議の開催  7月
(7)部落解放研究第44回全国集会(新潟県新潟市、11月9~11日(火~木))
(8)全国部落史研究交流会(奈良県)の協力
(9)国際関係/英文ニュース:8、12、4月
(10)出版
(11)研究奨励基金
(12)図書資料室
①貴重本・資料のデジタル化
②移転・寄託・保管先の確保・移転
③外部資金の申請 ~ 科研費関係、図書館振興財団

3.啓発・販売部                                                                                 

[啓発担当]
(1)人材養成事業を実施する。
①主催講座事業
1.部落解放・人権大学講座の開催(原則週1日×29日)
・第99期/(定員60名、於・大阪)
・第100期/(定員60名、於・大阪)
・第100期開講に伴う記念事業の開催
・ゼミナールコースの開催
・『あしはら』31号の編集・発行(2010年12月)
2.社会啓発連続学習会の開催
3.促進役経験交流会の開催(年間3~4回)
4.第23回人権啓発東京講座、開催日は未定
②実行委員会に参加している講座事業
1.第35回部落解放・人権西日本夏期講座(香川県高松市)
・2010年6月3・4日(木・金)、目標参加者数 4,000名
2.第41回部落解放・人権夏期講座(和歌山県高野町)
・2010年8月18~20日(水~金)、目標参加者数 1,700名
3.第31回人権・同和問題企業啓発講座(大阪国際会議場)
・第1部 2010年10月 8日(金)、目標参加者数 2,000名
・第2部 2010年10月28日(木)、目標参加者数 2,000名
4.第25回人権啓発研究集会(兵庫県姫路市)
・2011年1月27・28日(木・金)、目標参加者数 4,000名
(2)講師派遣事業の実施
(3)啓発企画委員会の開催
(4)研究所ホームページの運営
(5)その他
①部落解放文学賞評論部門事務局
②啓発連絡会への参加

[編集・販売担当]
(1)定期刊行物の内容充実と普及に努める。
①『ヒューマンライツ』(265~276号)
②『人権年鑑 2011』※2010年度の方向性
③『部落解放研究』(189~191号)※発行回数変更
④『全国のあいつぐ差別事件 2010年度版』※2010年度の方向性
(2)研究所活動の総合力を企画に活かし、内容の充実を図る。
(3)編集委員会を機能させる。
(4)販売部門については、引き続き販売経理・販売管理の整理と業務の円滑化に努める。
(5)2010年度出版計画(第1次案)
[定期刊行物]
①『ヒューマンライツ』(265~276号)
②『人権年鑑 2011』
③『部落解放研究』(189~192号)
④『全国のあいつぐ差別事件 2010年度版』
[単行本(タイトルは仮称)]
①中尾健次『悲田院文書から見る大阪の被差別民』(仮)
②寺木伸明・黒川みどり『新 部落の歴史』ブックレット形式(仮)
③黒川みどり編著『マイノリティの境界 ~ 近代日本社会における』(近代マイノリティ研究会論集)
④内田龍史『被差別部落マイノリティのアイデンティティと社会関係に関する研究(仮)』(博士論文)
⑤西田芳正編著『児童養護施設と社会的排除 家族依存社会の臨界(仮)』
(6)販売活動を強める
①『部落史研究からの発信』3巻本、『大阪の部落史』全10巻、『悲田院長吏文書』Ⅰ、Ⅱを全国大学図書館、研究者を中心に販売活動を進める。
②視聴覚教材「メンタルヘルスと人権」などの販売活動を進める。

4.その他                                                                                       

[原田伴彦記念基金]
(1)部落史関係の事業については、運営委員会の承認を得て、次の事業に取り組む。
(新)①部落アイデンティティ研究会(2010~2012年度)
②大阪近世人権史研究会(2009~2011年度)
③部落史関係文献目録の作成
(2)国連の人権理事会等へ若手の研究者又は人権活動家を派遣する。
(注)受け入れ団体のIMADRのジュネ-ブ事務所の職員が配置された為、中断していた事業を再開する。
(3)第25回原田伴彦記念基金運営委員会を開催する。(2010年6月)
(4)マイノリティ研究会への助成
①外部資金を得て、年1回ないし2回開催する。
②マイノリティ研究会で取り上げるテーマとしては以下の課題を取り上げる。
1.国際人権理事会の新たな動向をフォローしていく。
2.「人権侵害救済法」(仮称)が制定された場合、その法律の評価、実施状況に関する検討を行う。
3.人種差別撤廃条約をふまえた日本における差別禁止法案ついての研究にとりくむ。
4.「東アジア共同体構想」について、とくに人権とマイノリティの視点から研究していく。

[部落解放・人権研究所識字支援「安田識字」基金]
(1)第6年度事業に取り組む(助成事業募集(12月~2月)、助成事業の選定・助成(3月)、助成事業の中間報告(11月末締切)および最終報告(2011年5月締切)の審査)
(2)運営委員会を開催する(3月(第6年度助成事業の選定)、12月予定(第5年最終報告の審査、第6年度助成事業の中間報告審査))

[国際人権大学院大学(夜間)の実現をめざす大阪府民会議]
(1)専門職大学院としての国際人権大学院大学第構想研究会(略称:構想研究会 座長 阿久澤麻理子兵庫県立大学准教授)の提言を踏まえた現実的な実現方策の検討を行う。
(2)その際、2009年9月に、日本において人権を重視する新政権が誕生したこと、さらには2009年10月の国連人権理事会で、「人権教育の世界プログラム」の第2段階の重点の一つに高等教育における人権教育の推進が設定されたことを最大限活用する。
(3)プレ講座を開催する。
(4)事務局会議を定期的に開催する。
(5)研究所として、大阪府民会議の取り組みに積極的に参画していく。

[国際関係]
(1)人種差別撤廃委員会による日本政府報告(第3、4、5、6回)審査を踏まえた最終所見の普及・宣伝と実施を求めた取り組みに参画していく。
(2)韓国・光州市における「人権条例シンポジウム」(仮称)に友永健三理事を派遣(招待)
20105月18日(火)
(3)世界人権宣言大阪連絡会議、世界人権宣言中央実行委員会の取り組みに参加していく。
(4)反差別国際運動(IMADR)、反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)の取り組みに参加していく。
(5)『BURAKU LIBERLATION NEWS』vol.151~153を発刊する。