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2012.05.18
事業報告


2010年事業報告

 

1.2010年度の事業概要
(1)HRCビルへの移転(5月)
  1969年より40年以上にわたり拠点としてきた浪速区の大阪人権センターを離れ、2010年5月に現在の港区波除のHRCビル8階に移転しました。これは単に物理的に移転したということだけでなく、新たな研究所像を求めていくという意味で、大きな転機点にしていく必要があります。
(2)科学研究費補助金申請ができる「指定機関」となり(7月)、11月に科研費申請
  2009年度より準備を進めてきた科研費申請ができる文科省「指定機関」の申請を2010年に申請し、7月にはそれが承認されました。それに基づいて、11月には2011~2013年度事業として、基盤研究C「社会的排除地域の変容と包摂の試み~都市型部落と公営住宅の比較研究」(国勢調査活用による部落問題調査)と、奨励研究「「松本治一郎記念会館旧蔵資料にみる占領冷戦期の民間外交資料のデジタルアーカイブ作成」、研究成果公開促進費「部落生活実態調査・人権意識調査・教育調査報告書の書誌情報及び画像データベース」(図書資料室)の3つを申請しました。
(3)旧来の部会単位の活動とあわせて、部門単位の調査研究活動の促進
  限られた研究予算と職員体制という制約の克服と、部会の枠を越えた部門単位の横断的研究機能の発展をめざし、部門別単位の調査研究活動を促進してきました。成果としては、人権部門では『研究報告書No.19 人権CSRガイドライン』(A4判62頁)、調査・行政部門では部落解放同盟中央本部『部落の青年に関する2つの全国実態調査結果・中間報告』(A4判38頁)への協力、大阪府総合福祉協会「隣保館における地域社会資源との連携調査とあり方検討事業と先進事例集作成事業」「隣保館支援地域生活実態調査に向けてワーキング委員会の開催」への協力、『研究報告書 No.18 部落の青年の部落認識調査報告書』(A4判94頁)、『児童養護施設と社会的排除』(A5判215頁)、教育・地域部門では『研究報告書No.17 人権教育と道徳教育を考える』(A4判72頁)、『2010年度全国識字学級実態調査報告書』(A4判40頁)、歴史部門では『続 悲田院長吏文書』(B5判上製286頁)、『近代日本の「他者」と向き合う』(A5判423頁)などを発刊できました。
(4)図書資料室の移転と貴重資料等のデジタル化作業の模索
  HRCビルへの移転に際し、図書資料室が所有する10万点を超す冊子・資料は、2013年3月末を当面のメドとして数か所の分散保管となりました。この現状の克服と旧来からの課題であった貴重資料等の保全のため、市販されていない貴重資料の全面デジタル化を模索してきました。デジタル化作業の促進、デジタルデータの活用方法、原資料の保管などを継続して検討していきます。
(5)部落解放・人権大学講座をはじめとした諸講座の改革に着手
  第41回部落解放・人権夏期講座、第31回人権・同和問題企業啓発講座、第35回部落解放・人権西日本夏期講座(香川県)、第25回人権啓発研究集会(兵庫県)、第99・100期部落解放・人権大学講座、第23回人権啓発東京講座を、地元関係者の協力を得るなかで成功裏に開催できました。とくに部落解放・人権大学講座では、29日間のうち7日間を占めている自己啓発学習の発展をめざし運営上の改善を進めてきました。
(6)『ヒューマンライツ』の発刊と研究成果の出版
  『ヒューマンライツ』、『人権年鑑2011』、『部落解放研究』、『全国のあいつぐ差別事件』と新刊を3点刊行しました。とくに『ヒューマンライツ』は、「ことば・差別・表現  再考」特集(第271、273、275号)が反響を呼び、初めての「読者・執筆者交流会」を開催することができました。
(7)公益法人移行問題への取り組み
  2013年11月末までに公益法人移行の終了となっていますが、情報収集等の中で、以下のことが明確になりました。めざす法人が公益社団であれ一般社団であれ、研究所の場合、①内閣府への申請、②公益目的財産額の確定と公益目的支出計画の早期作成と課題整理、③原田伴彦記念基金の研究所からの分離、④これらのための定款改正の必要、です。
(8)中期的な安定した財政基盤の検討
  2009年度より補助金がゼロとなりましたが、受託事業や運動関係からの支援を受けたこともあり、2009年度の赤字額は約250万円、2010年度は約200万円の赤字となりました。今後の中長期を展望しますと、安定した財政基盤の検討は必至です。

2.総務部の主な取り組み
(1)会員
①正(個人)会員    580名(2009年度612名)
②特別(団体)会員  390口(2009年度420口)
(2)おもな会議
①総会  第72回(6月11日(金))、記念講演「再不安定化する都市部落の若年層」
(妻木進吾・大阪市立大学)
第73回(2月24日(木))、記念講演(1)「『人権教育・啓発に関する基本計画』の改訂に向けて」(上杉孝實・京都大学名誉教授)
記念講演(2)「地域主権と自治体人権政策」(中川幾郎・帝塚山大学)
②理事会  5月22日(土)、9月4日(土)、12月25日(土)
③実務者会議(月1回)
④職員会議(月1回)
(3)機関のおもな業務
①『研究所通信』の発行(No.374~379)
②大阪人権センター移転に伴う諸作業(5月18日(火)、事務所移転)
③新公益法人制度改革への対応の検討(11月1日(月)、15日(月)、大阪府説明会)
④研究所ホームページの管理・更新作業
⑤新春マスコミ懇談会(1月20日(木))
⑥職員研修
・HRC内セクハラ等対策委員会 … アサーティブネス連続講座(全5回)
職員研修(11月22日(月)、25日(木))
管理職研修(11月26日(金))
・部落解放同盟綱領改正学習会(10月15日(金))

 

3.企画・研究部の主な取り組み
(1)科研費申請のできる資格の取得と2011年度応募への申請
①2010年7月29日、文科省より「研究機関の指定」を受ける
②2010年11月、2011年度応募への申請を3点出す
・(国勢調査の活用)「社会的排除地域の変容と包摂の試み~都市型部落と公営住宅の比較研究」
・図書資料室「松本治一郎記念会館旧蔵資料にみる占領冷戦期の民間外交資料のデジタルアーカイブ作成」
・図書資料室「部落生活実態調査・人権意識調査・教育調査報告書の書誌情報及び画像データベース」
(2)調査研究事業
(歴史)
①近世大阪人権史研究会 (2009-2011年度)
②部落アイデンティティの歴史的研究 (2010-2012年度)
(啓発)
①「部落解放・人権啓発基本方針」の策定 (2010・2011年度)
②部落解放・人権大学講座のカリキュラム編成の検討 (2010・2011年度)
(人権)
①CSR報告書と人権研究会 (2010年度)
→ 研究報告書No.19『人権CSRガイドライン』(A4判62頁)
(調査行政)
①人権条例ケース・スタディ研究会 (2010・2011年度)
②部落の青年の雇用・生活実態調査<全国> (2010・2011年度)
→ 部落解放同盟中央本部『部落青年に関する2つの全国実態調査結果・中間報告』(A4判38頁)
③部落の青年の部落認識調査 (2010年度)
→ 研究報告書No.18『部落の青年の部落認識調査報告書』(A4判94頁)
④国勢調査を活用した部落問題調査研究会 (2010・2011年度)
(教育)
①全国識字学級活動状況調査 (2010年度)
→ 『2010年度全国識字学級実態調査報告書』(A4判40頁)
②人権教育先進的事例検討会 (2010・2011年度)
③子ども会活動研究会 (2010・2011年度)
④基本計画改定検討会 (2010・2011年度)
⑤人権教育と道徳教育研究会 (2010年度)
→研究報告書No.17『人権教育と道徳教育を考える』(A4判72頁)
(他の研究会への参加)
①同和地区関係資料研究会 (2010年度~)
②地域就労支援研究会 (2010・2011年度)
③社会的排除指標研究会 (2010年度)
④大阪府総合福祉協会「隣保館における地域社会資源との連携調査とあり方検討事業と先進事例集作成事業」「隣保館支援地域生活実態調査に向けてワーキング委員会の開催」 (2010年度)
(3)部門・部会の取り組み
(4)紀要『部落解放研究』の編集(189-191号)
→ 第189号(2010年 7月) 「特集 実態調査にみる今日の大阪の部落」
第190号(2010年11月) 「特集 人権教育と道徳教育を考える/就職困難者の就労と生活」
第191号(2011年 3月) 「特集 非人・非人番の生活世界」
(5)部門別会議 → 啓発、人権、調査・行政、教育、歴史
(6)リエゾンセンター
(7)第5回部落解放・人権研究者会議の開催
(8)英文ニュース
(9)研究奨励基金の創設
(10)図書資料室
①貴重本・資料のデジタル化の3か年計画
・デジタル化作業の内部での取り組みと外部委託の検討
・映像等の資料の目録作成とデジタル化 → 大阪芸術大学のご協力
・盛田嘉徳文庫の寄託(3月28日(月)、大阪教育大学へ5,000冊)、和島岩吉文庫の寄託(継続中)
②外部資金の申請 → 科研費関係、図書館振興財団
(11)協力
①部落解放研究第44回全国集会(新潟市、11月9~11日(火~木))への協力
②全国部落史研究交流会(奈良、8月7・8日(土・日))への協力

4.啓発・販売部の主な取り組み                                                         
(啓発企画室)
(1)人材養成事業を実施した
(自主講座事業)
①部落解放・人権大学講座
1)第99期   開催期間:6月15日(火)~12月14日(火)のうち29日間
2)第100期  開催期間:10月6日(水)~2010年3月24日(木)のうち29日間
3)ゼミナールコース「多様性を活かす、差別を見抜く力をつける」
2月28日(月)、3月16日(水)の2回
4)『あしはら』31号の編集・発行(2010年12月)
②第23回人権啓発東京講座
1)開催期間:9月15日(水)~11月18日(木)のうち12日間
③人権啓発促進役経験交流会「平等で公正なコミュニケーション能力・豊かな人間関係を求めて」
第16回(3月29日(土))
(研究所が実行委員会参画の講座事業)
①第35回部落解放・人権西日本夏期講座  6月3・4日(水・木)、香川県高松市
②第41回部落解放・人権夏期講座  8月18-20日(水-金)、和歌山県高野山
③第31回人権・同和問題企業啓発講座  (第1部)10月8日(金)、(第2部)10月28日(月)、大阪市
④第25回人権啓発研究集会  2011年1月27・28日(木・金)、兵庫県姫路市
(2)人権教育・啓発相談事業:77件
(3)講座企画会議
(4)その他
①部落解放文学賞評論部門事務局
(編集・販売部)
(1)定期刊行物
①『ヒューマンライツ』(No.265~276)
②『人権年鑑 2011』
③『部落解放研究』(189~191号)
④『全国のあいつぐ差別事件 2010年度版』
(2)単行本(新刊)
①黒川みどり編著『近代日本の「他者」と向き合う』2010.10
②部落解放・人権研究所編『学びから始まる私たちの人権』2010.12
③西田芳正編著『児童養護施設と社会的排除』2011.2
(3)単行本(増刷)
①平川宗信 HRB『報道被害とメディア改革』初版2刷
②木村・古久保編著『ジェンダーから考える教育の現在』初版2刷
(4)視聴覚教材
①『パワーハラスメントと人権』DVD化

5.その他
[原田伴彦記念基金]
(1)部落史関係事業
①部落アイデンティティ研究会 (2010-2012年度)
②大阪近世人権研究会 (2009-2011年度)
③部落史関係文献目録の作成
(2)国連の人権理事会等へ大城尚子(大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程2年)さんを派遣
(3)第25回原田伴彦記念基金運営委員会(6月22日(火))
(4)マイノリティ研究会への助成(マイノリティ研究会 3月26日(土))
[部落解放・人権研究所識字支援「安田識字」基金]
(1)第7年度事業に取り組みました。
(2)運営委員会の開催。(1月29日(土))
[国際人権大学院大学(夜間)の実現をめざす大阪府民会議]
(1)プレ講座の開催(「人権教育」をテーマに10回にわたる連続講座)
(2)事務局会議の定期的開催
(3)市民じんけん大学(院)講座(主催:大阪市立大学人権問題研究センター)の後援、宣伝協力。このうち計4回がプレ講座として位置づけ開催されました。
[国際関係]
(1)韓国・光州市における「人権条例シンポジウム」に友永理事を派遣(招待)(5月18日(火))
(2)反差別国際運動(IMADR)、反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)の取り組みへの参加
[研究所加盟・参画の団体・組織]
(1)部落解放研究全国集会中央実行委員会
(2)部落解放・人権政策確立要求大阪実行委員会、同中央実行委員会
(3)世界人権宣言大阪連絡会議、世界人権宣言中央実行委員会
(4)えせ同和行為等根絶大阪連絡委員会
(5)(財)大阪府人権協会
(6)人権啓発推進大阪協議会(愛ネット)
(7)ニューメディア人権機構
(8)AIAIおおさか関係団体セクハラ等対策委員会
(9)被災「弱者」支援「東日本大震災」大阪人権委員会