(思文閣出版、1997年11月、 A5判、360頁、7800円)
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大阪を舞台に、近代の都市史を追いかけてきた著者の論文集で、学位請求論文。都市問題論が、まず都市への関心から始まり、ついで都市と政治の関係に移り、さらに都市支配の具体相をめぐるさまざまな論議に広がり、今日では都市の「空間」という問題へ発展しつつある、とするのが著者の見取図である。
分析概念として、共同体と利益社会/公共と行政/都市名望家/名誉職/予選体制/民衆/治安と衛生/都市法制/市政特例/大阪市の意義/普選以前と以後、を用意して近代都市の諸問題を提示する。
部落史と直接関わるテーマとしては第5章「都市支配と下層社会」、第7章「治安・衛生・貧民」で、後者は阪大『待兼山論叢』収録論文だが、近代の部落史、とくに大阪の部落史の近代を担当する方々には分野を問わず必読となろう。