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書 評
 
評者W.T
研究所通信237号掲載
舳松歴史資料館編

『反骨の棋士 阪田三吉―その栄光と苦難の道』

(1998年3月、A4判、105頁)

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  同資料館は1988年に開設されて以来、ずっと地元の坂田三吉の足跡を追いかけ、資料収集に努力し、年に1回の特別展でその成果を公表してきた。

  その蓄積が、ようやく資料集としてまとまった。構成は、口絵(ゆかりの品)/名人への軌跡をたどる/棋界の巨人再び起つ/戯曲「王将」等に見る阪田三吉/「馬」と「三」の文字から/書籍から/人・出会い―阪田三吉を語る/新聞から/「将棋哲学」―坂田名人実話/語録/棋譜/年譜。

 坂田本人や関係者の証言からその実像をあぶり出し、これまでいかに歪んだ坂田像が描かれてきたかを指摘している。また関係する演劇・映画・テレビドラマや新聞記事の一覧、書籍、年譜など、資料集としての価値も高い。口絵はカラー印刷で見ても楽しいし、5つの対局の棋譜も、将棋ファンにはたまらないかもしれない。