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2002年から「総合的な学習の時間」が、完全学校週5日制にともなってスタートする。
「総合的な学習」が、打ち出されてきた背景には、「新しい学力観」、「心の教育」などにみられるように学歴偏重への警鐘や子どもたちの「心」を育む具体的な手だてへの模索がある。
子ども自身に問題があるというのも、また、おとな社会に問題があるというのもどちらも一面的であり、子どもとおとなの関係性についての論究が問われている。
他者とどう共応関係を作っていくのかを、おとなが子どもにそれを身につけていく術を示さなくてはならない。
「総合的な学習の時間」を子どもとおとなの意味ある関係性を構築する機会に活用することを著者は、提案する。その具体的手だてとして、子どもに日常生活の中で社会規範を身につけさせる方法として、「正統的周辺参加」を提唱する。
「正統的周辺参加」論とは、徒弟制の中での学習を分析したものである。
- 実際に仕事が行われている場に徒弟あるいは見習いとして一定期間参加する
- 地域の行事などの企画や実行に参加する
- 地域の環境調査、健康調査、文化財の調査などに参加する
子どもたちが地域の一員として、参加参画する取り組みを提案しているのは、大変興味深いし、具体的に各地で実践されることを期待したい。