-----------------------------------------------------------------------------「研究所通信」?245(1999年1月)で紹介した滋賀県での児童の人権意識の定着と自尊感情の関連性に関する意識調査に続いて、京都市でも同様な問題意識の下に意識調査が実施された。本論文は、それをまとめたものである。
具体的には98年10月に、小学校4年生1030人、6年生1038人(小学校10校)、中学校2年生1079人(中学校7校)、を対象とした。調査の構造と要素は図にあるように、「人権意識の基盤となる認識」と「人権侵害に対する態度―行動」の大きな2つの領域と「自尊感情」etc.の4要素から構成されている。 これまでも、三重県や大阪市等の学力調査やその滋賀県の意識調査で「自尊感情」etc.の要素はいろいろと検討されているが、今回の京都市の調査もさらに工夫が行われている。
調査結果は、以下の柱でまとめられている。
第1節 自尊感情と人間観・社会観
(1)子ども達の自尊感情
(2)子ども達の人間観・社会観の現状
第2節 人権に対する認識と態度・行動
(1)子ども達の人権に対する認識の現状
(2)子ども達の人権侵害への態度・行動の選択
第3節 子ども達の人権意識を形成するもの
(1)自尊感情・人間観・社会観と人権に対する認識
(2)子ども達の認識と態度・行動の選択
そして、調査結果を受けての「これからの人権教育の展開」では、2002年より学習指導要領で実施がうたわれている「総合的な学習の時間」の理念が有効と指摘している。まさにその通りであるが、同時に本当に「有効」としうるかどうかは教員をはじめとした「地域に開かれた学校」作りに関わる者の取組みにかかわっているといえる。