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前号の通信でご紹介したように、9月より収益性や成長性だけでなく、「環境」「雇用」「消費者対応」「市民社会貢献」の4点を指標に、社会貢献度の高い企業を選び、その株に投資していくという「社会貢献ファンド」が、「朝日ライフアセットマネージメント」より設定された。今後の動向が大いに注目されるところである。
その動向を検討する上で、昨年8月に設定された社会貢献ファンドの一種である「エコファンド」の動向は興味深いものがある。本論文はそれに応えたものである。 即ち「金融市場にもエコの商品が」と当初、好意的な驚きで迎え入れられたが、これからのエコファンドの果たしてエコ度はどうなっているのか、5本のファンドのエコ度はどこが違うのか、といった疑問が今日生まれてきているからである。
ただし、5つのファンドとも設定から日が浅く、組入れ銘柄や環境スクリーンに関する情報がエコ度を十分比較検討できるほどは開示されていないという制約があるとしている。
その中で、公開された情報に基づき、1選定プロセス、2スクリーニング項目、3個別の環境問題に対する配慮、4エコビジネスの評価、5組入れ上位10銘柄の比較、6ファンド自体の情報開示、の5点を分析している。
例えば選考プロセスでは、財務面と環境スクリーンを同時にかけるタイプ、財務面と第1次スクリーニングし選別された企業に環境スクリーニングをするタイプ、そして最初に環境スクリーニングをかけてこの後に財務と株価評価で選定するタイプ、の3つに大きく分類できること、その選考プロセスによって選考される企業がいろいろと左右されるとしている。
個別の環境問題に対する配慮では、「UBSエコ博士」が「たばこ」を主たる製品としている企業は投資対象としないとしているが、原子力や塩化ビニールなどは「事業を手がけているというだけでは投資対象から排除しない」としている。また、温暖化問題、ごみ問題、有害化学物質対策などの間の優先順位をどうするのか、という方針を公表しているファンドはない。またスクリーン項目でもそれぞれに特徴があるが、「パートナーズ・みどりの翼」が他の4つのファンドと若干違い、エコビジネス重視をとっている。
いずれにしても、より一層の情報公開とそれに基づく社会貢献ファンドの発展が強く望まれる。また、社会貢献ファンドに関する本論文のような調査研究の重要性を痛感させられる。