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「企業市民」という言葉が言われて久しいが、人権や社会貢献は企業活動にとって周辺的あるいは対立的なものとして捉えられているのが実状ではないだろうか。
本書では、経営学の枠組みから企業が社会的な要求に応える必要性や経営者の認識や態度、社員への徹底の重要性など、これまで人権推進担当者が体験的に理解してきたことに裏付けがなされている。
例えば、効率性、競争性と人間性、社会性という概念は対立するものと考えがちだが、本書では折り畳み傘を用いたイメージでそれらを伸張することが企業の発展にもつながることを説明している。
単なる遵法と不祥事防止にとどまらず、それ以上に企業が行動基準や存在意義を自ら表明し、それに基づいて積極的に社会の一員として活動することが求められている。