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1997年11月、81地方自治体が「福祉自治体ユニット」を設立し、新しい福祉事業で地域振興をめざしている(98年1月には95自治体)。
本書は、この「ユニット」の中の山形県最上町、兵庫県吉川町、北九州市の3自治体での福祉事業を具体的に紹介しているが、「北九州方式」と呼ばれる北九州の場合が特に興味深かった。
即ち、小学校区(136)で市民福祉センターを位置づけ(公民館に63、センターを24設立)、まちづくり協議会より100世帯に1世帯で福祉協力員を選出し、最も住民に身近な機能を作り出すと共に、区(7)レベルでは「年長者相談コーナー」を保健婦とケースワーカーで担当し、一定の決定権をもった総合相談を出前相談も含めて実施していること、その過程で保健所と福祉事務所が保健福祉センターに、民生局と保健局が保健福祉局に統合して、より効果的に高齢者問題に取組んでいる。
さらに1993年の高齢化社会対策総合事業を機に、福祉サービスの個人台帳化(区役所レベル)、福祉マップの作成、保健婦による退院前関与、消防と保健福祉の合同による「あんしんライン119」、高齢者向け市営いたわり住宅、モデル事業としての24時間巡回型ホームヘルプサービス、早朝夜間スポット型ホームヘルプサービス、さらには、労組による虚弱高齢者送迎サービス事業、企業による腕自慢おまかせサービス事業、建築士・住宅産業による「すこやか住宅推進協議会」のサービス事業、弁護士による高齢者あんしん法律相談事業がボランティア活動として取組まれている。
住民参加型の新しい福祉事業は、地域福祉の充実にとどまらず、雇用と消費の大きな需要を生み出し、従来の土木事業よりも地域経済を活用化させるものであることを示している。欲を言えば、こうした過程で地域づくりがどう発展してきているのかも触れてほしかった。