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日本で初めて成立した、川西市子どもの人権オンブズパーソン条例第20条(運営状況等の報告及び公表)に基づいて発刊されたものが、上記の報告書である。
主な目次は以下の通りである。
第1章 概論:第1年次における条例運営の概況等
- 300回・92件の相談活動
- 個々の課題に即した調整(コーディネート)活動
- 調査活動にかかわるさまざまな取り組み
- 子どもオンブズ活動における勧告・意見表明権
- 見えてきた子どもの現状
第2章 各論
- 相談・調整活動に関する報告
- 相談受付等の状況
- 相談内容の傾向および主たる相談事項等
- 相談・調整活動の実態
- 擁護・救済の申立て及び自己発意等に関する報告
- 擁護・救済の申立て受付の状況
- 自己発意等の状況
- 調査活動の実際
- 勧告等および意見表明等
- 広報・啓発活動および会議開催等に関する報告
- 広報・啓発活動の状況
- 広報・啓発活動の課題とネットワーク促進の試み
- オンブズパーソン会議開催の状況
第3章 提言
- 地域での子ども家庭支援の推進に向けて
- 子どもの意見表明や参加・参画を大切にする人権文化の創造に向けて
- 本条例の普及を図るために市の機関に期待する取り組み
本書を一読すれば、1999年6月〜12月の子どもの人権オンブズパーソンの活動内容と課題が手にとるようにわかる。その中でも興味深く感じたのは、(1)「子どもから顔が見えるオンブズパーソン」、(2)個々人の課題に即した調整(コーディネート)活動、(3)「子どもオンブズくらぶ」、である。
(1)は、子ども自身がオンブズパーソンにアクセスしやすいようにさまざまな工夫と努力がなされたこと、(2)は相談活動の一環ではあるが、相談を受けて相談者と一緒に課題を整理し、解決に向けて必要と判断した場合、関係する人々との直接・間接の接触や関係調整である、(3)は子どもや市民が主体となった取組みやネットワークづくりの支援・促進のため、市役所内とは別の空間で、相談等を受ける場として、子どもや市民の自主活動の場として、そして定例の「オンブズパーソンと語る会」の場として活用されている。
本書を一読してもう一点感じたのは、こうした条例の実施状況や課題を示した報告書の公表が、「高知県人権尊重の社会づくり条例」以外の部落差別・人権撤廃条例の規定にはあまり見られないことである。条例の性格上の問題もあると思われるが、こうした報告書の公表は、差別撤廃条例を成立した行政・議会の「説明責任」の点からみても極めて重要といえる。再考が求められているのではないか。