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書 評
 
評者中田理恵子
研究所通信号掲載
日経連出版部編

セクハラ防止ガイドラインブック

(日経連出版部、1999年2月、A5判98頁、定価1000円+税)
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 本誌の構成は、1 セクシュアル・ハラスメントとは?、2 セクハラ防止のマネジメントとは?、3 管理者の役割と相談への対処法とは?、4 参考資料 である。

 本誌は、発刊されるや8万部とも80万部売れたともいわれている。

 この冊子の売れ行きの要因には、この4月1日から、改正男女雇用機会均等法が施行されたことに伴い、企業は、「女性労働者が性的な言動によって不利益を受けたり、就業環境が害されないように雇用管理上の配慮義務を負うこと」が、規定されたことに関係しているだろう。

 この冊子では、セクハラ防止を企業に与えるマイナスの影響を防止するという視点からをとらえたのでは「仕方がないから防止策をたてる」という姿勢になり、問題の本質を見失うと指摘する。「能力発揮」や「業務遂行」にかかわる問題であり、マネジメントの問題として位置づけるべきだとする。

 女性の人権の侵害というとらえ方は、なされていないが、女性労働力の活用を図らないと国際競争社会に生き残れないという視点が貫かれている。

 この冊子を編集したのも男性が2人と女性が1人という構成で興味深い。また、コミュニケーション・ギャップ、ジェンダー・ハラスメント、カウンセリング・マインドなどの解説もなされており、実践に即活用できるのが人気の秘密かも知れない。

 女性の人権の視点に立ったセクハラ防止ガイドラインをそれぞれの職場で作成する際の参考となるだろう。