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2007.05.18
書 評
 
李嘉永

各企業のCSR報告書をモニター

2005年度版 CSR報告書における人権情報

A4判、45頁、実費頒価

今日、社会的責任(CSR)の取り組みが推進されるにつれて、かかる取り組みを社会に広報するツールとして、CSR報告書を発行する企業が増加している。かかる報告書は、いわゆる環境報告書から発展してきたものであるが、現在では、社会性、とりわけ人権尊重に関わる取り組みについても、記載される事例が増加している。そこで当研究所では、2005年から2006年にかけて、CSR報告書を収集し、人権に関連する情報の記載状況について分析した。

 第1章では、CSR報告書をめぐる動向を振り返り、かかる動向の特徴として、一方的コミュニケーションから双方向へ、ステイクホルダーへのメッセージ性、さらにパフォーマンスが活動の結果のみならず活動そのものにも注目されている点を指摘する。

 第2章では、かかる動向を踏まえ、CSR報告書を人権の観点から検討する際に用いた評価項目について説明している。

 かかる項目に基づいて、収集した521誌の報告書の傾向と特徴を分析し、かつ記載内容に工夫のあるベストプラクティスを抽出した。現時点でも環境保全活動に関する情報の比重が大きいが、社会性や人権に関わる事項への言及もあり、今後増加していくことが期待されることを指摘した。

 なお、この報告書には、掲載していないが、ホームページ上に、各企業ごとのチェック結果とその一覧表を掲載しているので、参照されたい。