1.改良住宅、旧同和向け公営住宅の性格
改良住宅は一般の公営住宅とは性格を異にしており、同和地区内の不良住宅居住への代替措置として建設されている。旧同和向け公営住宅も一般の公営住宅とは性格を異にしていることが多く、改良住宅と一体として又は混淆して建設されている。そして、地区によっては改良住宅と同和向け公営住宅の区別がされていない場合も多い。また、同和向け公営住宅は同和地区、あるいは同和地区に隣接して建設されることが多く、改良住宅も旧同和向け公営住宅も定住コミュニティのための住宅として考えられてきている。
現実問題として、大阪や京都では同和地区イコール公共住宅団地という例も少なくなく、同和地区に住むには公共住宅に居住するほかはないという状況は異常といえる。これに対して、一般の公営住宅では定住性はほとんど考慮されていないのが通例であり、むしろ回転率の高いことが歓迎されたケースも多い。
2.定住のコミュニティへの配慮が不可欠
上記のような事情から、当該同和地区の住民に対しては入居及び再入居の優遇措置、収入基準を超過していても特公賃の活用などによる居住の継続を認めていくこと等が必要といえる。また、定住性という視点から、住宅の承継基準について夫婦間のみとせず、子どもまで可とする配慮や、住民組織が自立して住宅や住宅地を管理・運営することを奨励・支援していくことが望まれる。
3.家賃について
家賃については、一般公営住宅と同一水準とされるべきである。同和地区の公共住宅の家賃を低額に誘導することは疑問であり、利便係数の低さから差別地価を容認してしまう惧れがあるからである。また、高齢の単身者が大規模な住戸に住むといった状況をなくし、適正な住戸への住み替えが行われるようなシステムが必要である。つまり、規模係数の分母を70?から世帯規模毎の居住水準に見合った面積に改めていかなければならない。
4.空家の一般公募をめぐって
基本的には、一般公募によるものの、差別事象が生じないような配慮や工夫が不可欠である。そういう意味では、従来の同じ校区の住民の優先入居も一定の意味を有しているといえる。また、行政としては、住民が一体となって住宅・住宅団地を管理・運営するようバックアップしていくことも重要である。
5.多様な居住形態を保障し推進すること
定地借地権つきマンションの建設や公共住宅(上モノ)を払い下げ、定地借地権つきマンション化を図る、あるいは民間マンションを建設する、など多様な住宅供給が求められる。あわせて、空地(未利用地)をいかに活用していくかも考えていかなければならない。
6.地区の住民組織やまちづくりNPOの取り組み
団地の指定管理者として自主的な管理をおこなっていくこと、さらに団地リニューアルの主体としての地区の住民組織やまちづくりNPOの取り組みも重要である。
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