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産業・農業部会・学習会報告
2000年11月17日
大阪産業再生プログラム(案)の基本内容とその活用

(報告)正木裕(大阪府商工労働部副理事)

 大阪産業再生プログラム(案)を9月4日に発表したが、その背景には大阪産業の力そのものが低下しており、新しい産業の振興と既存の産業の新しい分野へのチャレンジがなくては、単なる景気対策だけではダメだという状況がある。

 大阪府の鉱工業生産指数は、1995年を100として、今年3月は91.8、8月は86.9、全国8月は108.3である。失業率では、近畿5.8%、全国4.6%。97年の開業率は4.5%、廃業率は7.1%で、府内の事業所は80年代の中頃には約54万であったものが、97年には約48万に減少している。

 今回は、ビジョンではなくプログラムとした。活用していただくために、事業施策を集めたからである。中小企業の活力再生、新たな産業分野の創出、魅力ある都市の創造を三つの柱に、14のテーマ、37のプログラム、148の事業を盛り込んでいる。3年計画で事業規模は約1000億円、この9月補正で約224億円を予算化した。

 主な事業内容としては、第一に、大学研究機関からの中小企業への技術移転。大阪版TLOを来年春に立ち上げ、府内40数大学と20数研究所と伴に中小企業の新しい分野を切り開いていきたい。

 第二に、創業支援。これにはベンチャーだけでなく、既存企業の第二創業が含まれる。スタートアップ資金等の金利を引き下げ、優れた事業プランに対してはテイクオフオオサカ21という創業奨励金を用意した。また、純資産3億から5億の中小企業に対する小額私募債保証制度や学生起業家(卒業2年以内まで)への融資制度も創設した。

 第三に、ベンチャー企業へのサポート。大阪府が関与するベンチャーファンドを設立し、ベンチャー企業への投資を促進するとともに、ゆくゆくはファンド自体を会社型投信として大阪証券取引所に上場していく。また、中小企業支援センターを2ヶ所追加して府内8ヶ所とし、そこにITコーディネーターを配置することにしている。

 第四に、商店街の活性化。地元市町と各商店街にきめ細かなプランをつくっていただき、商工行政だけでなく府政全体でこれを応援する。

 第五は、教育。学校教育のカリキュラムに、職業体験や職業訓練を組み込んでいく。すでに商工会議所とともに、5市でこの年末に空き店舗を利用して、子ども達が企画するチャレンジショップを始める。また、投資家教育も推進する。このようなことをトータルにおこなっていく機関として創造的人材推進協議会を設置し、先生方の理解もえながらやっていきたい。さらに社会人に対しては、サテライト大学院(社会人大学)も整備していく。

 その他、情報通信関連分野やバイオ関連分野への重点的な支援、環境関連分野や福祉健康分野への支援等がある。(越智昭博)