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反差別部会・学習会報告
2000年7月1日
右翼天皇主義に屈服した大阪市教委の同和教育推進校への
『日の丸』強制の状況と現代の天皇制と部落差別の関係

(報告)黒田伊彦(関西大学講師)

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 大日本皇誠会や南州塾など天皇主義の政治団体は、大阪市の各区役所に『日の丸』の常時掲揚を要求し、当局が屈すると、今度は街宣車の全国動員による実力行使をほのめかして、大阪市教委に同和教育推進校への『日の丸』掲揚を強要してきた。

 大阪市教委は市教組との『強制はなじまない。職務命令はなじまない』との合意を反古にして、『日の丸』掲揚を強制した。

 大日本帝国憲法は天皇主権の根拠を『神聖にして侵すべからずの万世一系の天皇』すなわち『ケガレなき血統』に求めている。これを支えたのが家父長的国家観と『家制度』であった。士族・平民等の族称の戸籍簿記載は血統・家柄意識を強め、戦後旧民法の廃止後も意識として残存している。

 昭和天皇の手術の時『玉体にメスを入れてよいか』とか輸血の時『皇統の血の純粋性に問題はないか』と医師団で議論された。1990年に東洋大学で『天皇は限りなく尊く、特殊部落民は際限なく卑しくけがらわしい』と聖と賤の対立意識をあらわにした差別落書が出た、との報告があった。

 討論は、元号を使用し、『海の日』の祝日化を要求した労働者、民衆の天皇制受容の心理の分析の必要性が強調された。(黒田伊彦)