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反差別部会・学習会報告
1999年2月26日
日雇労働者・野宿生活者の仕事 と居住権の保障について

(報告)福原宏幸(大阪市立大学)


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福原さんが座長となってまとめられた『日雇労働者・野宿生活者問題の現状と課題』(連合大阪)の報告を受けて、質疑討論を行った。野宿生活者への諸外国と日本の対応を比較して、どのような政策を提起すべきかが討論の中心となった。

排除でなく居住権と生活保障を!

フランスのホームレス対策は、24時間街を巡回し、ホームレスの人に出会うと、シェルターへ入居させた後、低家賃住宅に転居させるが、本人の意志で路上生活を続けるという場合は、毛皮や衣類を支給し、翌日巡回して様子をみる。

日本の排除思想と根本的に異なっている。低家賃住宅についても、今「釜ヶ崎」では不況で仕事がないため泊まり代がないので43%が空室で廃業するため、「布団を使ってくれ」と野宿者を支援している「反失連」へ申し出てきたドヤ(簡易宿泊所)もある。大阪市が廃業するドヤを買い取って、単身者用住宅にすることも考えるべきである。現状では、ドヤは、旅館で居住者は旅人と見なされ、生活保護としての居宅保護が受けられないからだ。

時短による雇用創出の闘いを!

労働時間短縮による雇用創出が考えられる。ドイツの失業率10%、日本は4.3%。ドイツの労働時間は年1550時間、フランスは1650時間、日本は1960時間である。

欧米並の時短を勝ち取り雇用を創り出し、失業者の就労を確保すべきである。フランスでは「土曜日のパパは、僕のパパ」という家族生活の時間確保のスローガンで時短を闘い、1981年ミッテラン大統領も「社会連帯のための時短」を唱え、雇用創出を行っている。

韓国では、民間4割、国及びソウル市が6割の基金で仕事を創り出している。

「連合大阪」の政策提起を連合中央の方針に発展させ、政策を国や自治体に実施させる努力が必要である。

(黒田伊彦)