調査研究

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部会・研究会活動 <反差別部会>
 
反差別部会・学習会報告
2003年3月15日
各講師からの報告と討論

(報告)遠藤比呂通
徳田幸博
方清子
本田哲郎


遠藤比呂通さんの講演要旨

  民族学校の国立大学受験資格の問題と、朝鮮学校生徒への暴力の問題は、戦後日本の法制度がどのように巧妙に在日の人々を差別してきたかという流れの中で位置づける必要がある。日本社会に所属している事実を無視して、戸籍というシステムあるいは住民基本台帳という制度を戦後作ってそこにそぐわない人を排除するということをやってきた延長線上にある。

  日本の天皇を中心とした民族排外主義が何故可能かというのは、国家が日本人を恣意的に決める事が出来るということを明治以降法制度を使って維持してきた事と不可分。法制度の裏側にある不合理、差別の問題、その中心に国籍の問題がある。

徳田幸博さんの講演要旨

  94年に朝鮮学校をささえる尼崎市民の会を作った。プールもない学校を参観した人々の驚きから、ささえる会は活発に活動してきた。拉致事件が明らかになって全国で生徒へのいやがらせがあったが、尼崎では少なかった。

  大学受験資格の問題は、二重の差別である。歴史をふまえた日朝問題の報道をするべき。韓国から見ると日本の拉致報道のおかしさが見える。一方的なものさしでは了解はなりたたない。日・朝・韓の民衆レベルのつながりを展望しよう。

方清子さんの講演要旨

  差別と暴力・戦争は深い所でつながっている。アメリカ経済の困難な状況が、戦争への期待感となり、9・11以降テロに対する憎しみが外国人に向けられてはけ口にされているが、日本でも似た状況が起こってきている。朝鮮学校が表立って攻撃されているが、部落も標的にされるなど、部落差別が深刻化している。共に手をたずさえて戦争に対して声をあげていこう。

本田哲郎さんの講演要旨

  相手の立場には立てないということをしっかり知って教えてもらうべき。原理原則は「谷が身を起こす」こと。下積みの人たちの視座に立った判断をしているのか、中卒でぎりぎりの人の思いにつながった運動になっているか、常に考えている。

  4人の講演を受け、反差別部会として「国立大学受験資格における朝鮮学校などの民族学校への露骨な差別を糾弾する声明」をまとめ、文科省に送付した。

(文責:事務局)