1.天皇制の呪縛の論理の解体へ
元号による国民の意識統合:秩父困民党の「自由自治」年号、水平社の「水平年号」など、天皇による時空の支配を拒否する意思表示をしてきた。
現代における天皇制の役割:家族主義の象徴として、独占資本の企業進出の露払いとして(皇室外交)、思想の危機管理として、癒しの体系として、また、生き甲斐を与え、死に甲斐を与え、あらゆる差別の元凶として、部落差別の元凶として天皇制がある(聖と賤の対立意識)。
2.侵略戦争を支えた母性と天皇制
「死んでも天皇の懐に抱かれる」という同化意識を共同幻想なのに幻想と意識せず「身をささげる」ことになる。癒しの体系として理解される。
3.母性強調の現代天皇制と有事法制
教育基本法の改悪論議で、「日本の文化伝統を重んじる」というが、日本の伝統文化をつくり出したのは賤民だったという歴史のとらえなおしをまずすべきである。今、天皇制は有事法制の中で全面的に癒しの体系として出てきている。
4.「和」の国体の本義の復活と現代天皇制
梅原猛や上山春平らが「和」をキーワードにした新しい国家原理をつくろうとしている。それは「国体の本義」の戦後版焼き直しといえる。
三浦朱門は教育改革の中で、「1%のエリートをつくったらいい。あとの人は反抗さえしなかったらいい」と言い出した。江崎玲於奈は「これからの入試は遺伝子を鑑定せよ」と。「和」と身分差別は絶えず結びついている。差別秩序を持った「和」。
1937年に出された「国体の本義」は、「差別的秩序を和と称する天皇制」に国民を一体化させようとする。「和」の精神は今「心のノート」で浸透させられている。
女性天皇ではなく天皇制の廃止を。