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法律・狭山部会・学習会報告
1999年9月14日
国内人権機関
―各国の実情と日本

(報告)山崎公士(香川大学)

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 反差別国際運動(IMADR)と人権フォーラム21の共同研究として進められている「国内人権システムの国際比較プロジェクト」の現在の取組み概況が報告された。

 現在、ドイツ、イギリス、フランス、スウェーデン、インド、スリランカ、フィリピン、オーストラリア、アメリカ、カナダ等々の国内人権機関を対象に、‡@1991年の「パリ原則」(国連が主催した「人権の伸長と保護のための国内人権機関に関する国際ワークショップ」での勧告)に基づいたアンケート調査と‡Aインタビュー等による個別直接調査、の2通りの方法で調査研究が進められている。またこの取組みを通して、各国の人権機関との情報ネットワークを作っていくこともめざしている。

 本年5月頃に中間まとめをできればと考えている。

 個人的な、印象的な内容ではあるが、国内人権機関として、人権委員会型(例えばオーストラリア人権・機会均等委員会、フィリピン人権委員会、イギリス人種平等委員会etc.)とオンブズパーソン型(スウェーデンのエスニッック差別解消オンブズマン、ニュージーランドの子どもオンブズマンetc.)に大きく分類できること、同じ人権委員会型でも国内事情を反映して機能や権限、構成(員)は多様であること、ドイツの場合は国内人権機関というようには見られていないが裁判所へのアクセスのし易さ、コミッショナー的制度が政府・州・地方自治体等に存在し外国人、女性、障害等の問題が取扱われていること、等が指摘された。

 また、91年のパリでの国内人権機関に関する国際ワークショップ以降、このワークショップは93年チュニス、95年マニラ、97年メリダ(メキシコ)と継続して開催されており、98年11月の規約人権委員会の日本への「最終所見」にも国内人権機関の必要性が指摘されるなど、日本においてもその具体化が大きく問われていることが指摘された。

(中村清二)