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人権部会・学習会報告
1999年2月9日
『全国のあいつぐ差別事件』1998年版その紹介と分析

(報告)本多和明(部落解放・人権研究所)

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 1997年に発生・発覚した差別事件のうち、特徴的な事件を紹介した。

 興信所・(株)ジンダイによる身元調査差別事件が発覚、大阪府連は4回の事実確認会、3回の糾弾会を開催、同和地区の出身者であることを示唆する報告をしていたこと等、事件の真相とその差別性や背景を明らかにし、社内体質の総点検、長期計画、経営方針、社員研修の徹底等を求めた。大阪府は立ち入り検査を実施、「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」違反で行政指導を行った。98年には、大阪の興信所による差別身元調査事件が発覚。この一連の事件を通じて、大阪府連は、差別身元調査システムの存在と「採用調査の是非」について提起した。

 近年情報化社会を迎えるなかで、最新の情報伝達手段であるパソコン通信やインターネットを使った悪質な差別事件が続発しており、解放同盟中央本部は97年7月郵政省に対して「電気通信事業法」の見直しや行政指導など要請をおこなった。

 結婚差別事件では、広島県呉市で、夫や両親から、部落出身を理由に、経済的、精神的に虐待を受け、そのうえ、離婚、家の明け渡しなどを請求される差別事件がおきたが、98年9月、広島高裁で勝訴の判決がだされている。

 三重県桑名市では、桑名公共職業安定所等で差別落書きをしていた男にたいして、津地方裁判所で「財産的被害だけでなく、社会に与えた影響は重大」として「器物損壊、建造物損壊罪」で懲役1年、執行猶予3年の判決がだされている。

 その他、統一応募用紙の違反事例、不動産の取り引きに関わって部落の所在地を行政に問い合わせるといった差別事件、教育現場でのいじめによる自殺事件、佐賀新聞社・社長のシンポジウムでの差別発言事件、差別投書・落書き・電話の多発などが特徴としてあげられる。

(本多和明)