大阪府人権協会が集約した、2003年1月1日から同年12月31日の間に発覚、報告・確認された差別事象について報告する。
まず、全体の報告件数は284件で前年よりも増加している。そのうち部落差別に関わっては193件が報告されている。ただし明らかに同一人物によるものと思われる連続事象はそれ自体で1件としており、実際の部落差別に関わってはほぼ400件ほどになる。確認体制は、部落問題に関わる事象を中心に府内市町村や関係団体が把握した差別事象を、大阪府人権協会が報告を受け、集約している。
今回、集約・確認された差別事象については、以下の特徴があげられる。
第1に、匿名の悪質な差別投書の多発であるが、これには、第1報告にあった「全国大量連続差別投書・ハガキ等事件」も含まれている。運動団体や行政機関宛てに、意図的、挑発的な差別語を多用し、部落差別を煽動している。現状ではこれらに対する有効な手段が難しく、今後はこのような事象に対する規制・救済の具体的な対応策を考えていくことが急務である
第2は、公衆トイレにおける連続落書き事件の多発であるが、連続性、同一行為者の可能性などの特徴がある。具体的な対応は難しいが一つひとつの事象をていねいに分析して、啓発などを繰り返すことが重要である。
第3に、インターネット上の差別事象があいかわらず続いているが、ますます巧妙になってきている。さまざまな人権団体やNPOと連携しながら、具体的な対処方策や啓発を考えていくべきである。