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啓発部会・学習会報告
2003年02月03日

ビデオ教材検討会

(報告)加藤 敏明(部落解放・人権研究所)

川口 泰司(部落解放・人権研究所)

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はじめに
 現在、「人権教育のための国連10年」行動計画の具体化として、関係各方面で多様な人権教育・啓発の教材が作成されている。
 部落解放・人権研究所でもビデオ教材を作成しているが、今後どのような内容が求められているのか、等について検討した。

ビデオ試写・合評
 まず、この間に研究所で作成した『私自身を見てください〜固定観念・ステレオタイプ』、『もう一人の私〜個人情報保護』の試写をおこない、製作意図、活用方法について加藤より説明が行われ、2本の作品についての合評を行った。

 これらの教材は参加型学習として使用できるように製作されている。職域・地域を対象とした教材で約30分の時間内に、ドラマ部(問題提起編)と解説部の2部構成になっている。

 より効果的な活用例としては、まずドラマ部を上映する。その後、ワークシートなどを使用したグループワークを行い、その上で解説部の上映にうつる。そして、まとめとして最後に補足説明と学習資料を配布するというスタイルがある。

 合評会では、様々な人権問題を個別とした縦割りの教材でなく、各差別問題に共通した横軸を貫くものをテーマとして制作しており、使用しやすいとの意見があった。

 しかしながらもう一方で、テーマ設定も含めて、部落問題から「人権問題への拡大はいいが、拡散はダメ」という指摘もあり、次作品企画のいくつかのヒントになる点もあった。

アンケート調査結果報告
 つづいて、川口より上記2本のビデオ教材に関するアンケート調査の結果報告が行われた。
 このアンケートは大阪同企連の協力を得、実際にビデオ教材を活用した担当者からの意見が集められている。

 アンケート項目は、(1)ビデオを使用のしての感想、(2)使いやすかった点、使い難かった点、(3)今後どのようなものがよいか、等であった。

 試写した両ビデオともに共通していたのは、時間的に30分でドラマ部と解説部の2部構成という点では社内の研修にとても使いやすいという意見が多かった。

 今後希望する教材としては、今回試写したビデオ同様の問題提起型で解説付きのスタイル、またビデオを活用してワークシートなどを使用してグループワークなどができるものがよいという意見が多かった。

 また、希望するテーマとしては、部落差別の起源や部落史の見直し、人権のまちづくり、障害者の人権、セクシュアル・ハラスメント、迷信、差別落書きへの対応など、後半多岐にわたっていた。

今後について
 検討内容として、上記アンケート結果を踏まえ、今後どのような教材が求められているのかを含めた、今後の部会運営などについての協議が行われた。

 そこではまず、研修で使用する教材などは個人レベルで作成・情報収集をしても限界があるので、共同で情報収集・ストック・活用できるような場の必要性、また研修方法についての実践交流の場の必要性が意見として出された。

 その具体に関わって元木部会長から、収集する研修教材・資料の内容として、新しく教材などの資料収集をすることも大切だが、今あるもの、これまでに使用してきたものなどの教材収集・整理から始めてはどうかという提案がされた。

 また、これまで部落解放・人権大学講座の自己啓発学習における助言者の指導記録も重要であるという指摘もされた。すなわち人権啓発・研修担当者として、研修においての具体的な場面、人にどのように関わり、どのように相手は変わってきたのか、その際にどのようなアプローチ・教材を使用したのかなどの情報を共有することによって、新任の担当者や実際に研修で困っている人への具体的なアドバイス・経験の蓄積となるからということであった。