〈第1報告〉
当センターは県直営で、生活部人権・同和室が本課。単独地域機関として、津市に約26億円をかけてつくられた。他府県のセンターの多くで指定管理者制度が使われていたり、県庁の一室にあったりという中で、県立は珍しい。
1990年に、全国に先駆けて三重県議会で「人権県宣言」が決議され、宣言の内容を県民に伝え、啓発していく目的で96年11月4日に人権センターオープン。
翌97年に「人権が尊重される三重をつくる条例」が施行されたがこれを根拠に各部局の課長級の管理職が人権担当特命監とされ、総合行政として、人権の観点からそれぞれの事業のチェックや職員の人権研修を担当している。特命監会議を月2回開催し、横の連携を取りつつ課題の解決にあたる。
センターには所長のもと、啓発課と相談課があり、職員は嘱託も含め19名。県職員なので4-6年で異動してしまう。
建物内には当センターの他、教育委員会や県の認可の2法人「財団法人反差別・人権研究所みえ」「社団法人三重県人権教育研究協議会」が入居し、連携している。
常設展示室があるのも特徴で人権学習に活用いただいている。他に多目的ホールや図書室もある。
啓発課の事業は大きく分けて、募集もの、イベント、冊子等の作成。募集ものでは、人権ポスターの募集、人権フォトの募集のほか、人権メッセージを募集している。いただいた人権メッセージは県内で一番よくかれるFM三重で放送しており、評判がいい。絵本の原作としての人権ショートストーリーは、唯一全国から募集している。
イベントとしては、まず人権フォーラム事業。解放同盟や県内の大きな企業、学識者も参加した実行委員会形式で、今年で8回目。県民人権講座は、昨年から県内市町でも開催することとした。
企画パネル展は「強調月間」の間にセンターに展示。パネルはイベント用以外にも作成しており、県内外の団体、市町村に貸し出している。
印刷物としては、去年はネット上の人権侵害の問題のパンフや、中小企業が気軽に利用できるような人権啓発教材も作成している。
県民意識調査は7-8年に一回の割合でやっており、結果を抜粋したパンフをつくり、県職員が「出前トーク」として外で話している。
相談課では、隣保事業支援と人権相談を実施。人権相談の方は相談員が月-金9-17時、電話又は面接で対応。毎週水曜午後は予約制・無償で弁護士等による法律相談、第4木曜午前は予約制・無償で臨床心理士によるカウンセリングを実施している。相談内容によって、人権特命監会議で解決を図ってもらったり、県警や法務局など関係機関につなぐ。
最近、問題になっているのは差別事象の対応で、去年は落書きが多発したが、近年はネット上が目立っている。モニタリングとチェックをしているが、現状に対応がなかなか追いつかない。
全体予算は3年前ぐらいから対前年比3割カットとなってきたが、隣保館予算は人件費補助の要素が大きく、センター予算に占める割合が高い。それとは関係なく3割カットされるので、啓発の予算面は本当に苦しくなっている。
課題としては、市町とどう関わるか。もっと県民へ直接啓発を打っていきたいが、市町にまかせたほうが効率的では?という意見が必ず出てくる。しかし市町村は温度差がすごい。こちらが指導を請いたいような市がある一方で、取り組みの弱い自治体もある。市町村とのすみわけ・共同しての啓発効果をどう生むのかが今後のポイント。
意識調査をしていても、人のうわさに流されやすい人が差別をする。行政のメッセージがあればそういう人たちは「差別はアカンな」と思う。重層的にやるべきだ。
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