調査研究

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部会・研究会活動 <企業部会>
 
企業部会・学習会報告
1997.12.3

IMADR−JC・研究所企業部会合同部会に参加して

金子 則夫 安田生命保険(相)

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  キャサリン・メアリー(レアリーグループ理事長)、ロッキー・チン(ニューヨーク市人権擁護委員)ともにアメリカにおける、人権問題の専門家かつ実践者であり、特にアメリカの公民権(法)や企業の人権取り組みの基本的な考え方など、直に学べる絶好の機会であった。
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 アメリカと日本の人権に対する比較の視点で、歴史や文化(企業)の異なる点を考慮し、必ずしもアメリカの人権思想や、人権問題解決のシステムが全て良しとは思わないが、以下に特徴的なものは、

アメリカ国内では、「人権」ではなく、多くは「公民権」という言葉が使われていること

社会運動や政治運動により、非道な企業に対する強力な規制法や法執行機関が充実していること

企業のトレーニング・プランが充実しており、雇用努力や昇進のための技術指導や知識トレーニングなど企業の必須条件として根付きつつあること

企業経営のグローバル化が進み、したがって職場の多様性、労働力の多様化が必然となり、共に働く職場構築の中で人権思想の進展を求めるようになってきたこと、

など大変興味深く聞くことができた。

 しかしながら、2人のパネラーが“ガラスの天井”という言葉で、採用や昇進における制約を指摘し、またキャサリン・メアリー氏が「過去の運動が公民権でなく、人権であったなら……」というマルコムXの言葉を引用して、人権侵害を公民権の侵害とすり替えて、アメリカ国内の問題に矮小化しているなどの報告を聞き、まだまだ多くの課題が残されていることを感じた。
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 このように進んだアメリカ企業の取り組みの中にいくつかの疑問を感じた。

  一つには、企業の取り組み姿勢は企業のイメージを高め利益に結び付けるという、徹底した思想である。利益の追求は企業として当然のことではあるが、その根底に消費者からの攻撃の回避、企業防衛の視点に重きを置いていることを感じる。

 二つは、従業員個々が持っているであろう、マイノリティーなど弱者に対する差別意識、企業の差別体質の認識と変革など、心の啓発プログラムが存在するのであろうか、具体的に聞きたかった。
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 ロッキー・チン氏の発言 ― 企業は社会に対し「絶大な力」を持っている、その力を人権尊重社会(企業)づくりのために、企業として果たすべき役割は大きい ― に納得すると共に強い説得力を感じた。

 最後に林陽子弁護士が、「人権問題に取り組むアメリカ企業のシステムや姿勢は、進んでいるとは思うが課題が多い。日本企業にあっては、フェアで透明な経営環境づくりに努力することが今重要ではないか。」としめくくった。

 現在、「人権」という言葉だけが先行している感のある日本で、人間尊重の実践を育てて行くことの重要性を実感すると共に、企業文化の相違があるにしても、見習うべき多くのものがあったと思う。