調査研究

各種部会・研究会の活動内容や部落問題・人権問題に関する最新の調査データ、研究論文などを紹介します。

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最終更新 2005.12.08
部会・研究会活動 <企業部会>
 
企業の社会的責任(CSR)に関する最近の動き

ユニセフの旅行規範が日本でも発足
2005年3月にユニセフ(国連児童基金)などが中心となって、子どもの商業的性的搾取に反対するための行動規範が日本でも発足した。この合意文書に調印した企業・団体は、子ども買春に反対する企業倫理規定・方針の策定や、従業員向けの教育訓練、ツアー・オペレータなど供給業者との契約に「子どもの性的搾取を拒否する」旨の明示、旅行者に対する啓発、目的地の有力者への情報提供、実施状況の報告書提出などが求められる。

日本ユニセフ協会
日本ユニセフ協会 コード・プロジェクト
「子ども買春防止のための旅行・観光業界行動倫理規範」(PDF)


「素晴らしい職場」研究所は、
 「2006年度欧州ベスト・ワークプレイス賞」のエントリーを開始
欧州連合の枠内において、労働の側面から、企業に対する表彰を毎年実施している「欧州ベスト・ワークプレイス賞」。その表彰に関わる調査をEUから受託している欧州「素晴らしい職場」研究所(Great Place to Work Institute Europe)は、2006年度のエントリーを募集している。各構成国ごとにエントリーを受け付け、2006年4月に優良企業100社を発表する予定。

欧州「素晴らしい職場」研究所 HP
「2006年度欧州ベスト・ワークプレイス賞」


国際連合人権委員会は、企業と人権に関する
     事務総長特別代表の任命を経社理に勧告
国際連合人権委員会は、本年4月20日に開催した第61会期第59会合において、事務総長に対して、「人権と多国籍企業その他の企業に関する課題」に関する特別代表を任命するよう要請し、2年間の任期で、人権に関する企業の責任やアカウンタビリティに関わる基準の明確化、国家の役割、「人権影響アセスメント」の方法、ベスト・プラクティスの収集等について、委員会の検討のために勧告を行うことを任務とするとした。多国籍企業と人権に関する「国連人権小委員会」の規範案、さらに人権高等弁務官の報告書による問題提起を受けて、かかるテーマについて委員会での検討を本格的に開始するものといえる。経社理による特別代表任命の承認を経て、研究が実施される見通し。

国際連合人権高等弁務官事務所 HP
国際連合人権高等弁務官 「人権に関する多国籍企業及び関連企業の責任に関する報告書」
国際連合人権委員会決議2005/69


朝日新聞社は、第2回「朝日 企業市民賞」募集を開始
朝日新聞社は、「朝日新聞文化財団」の「日本企業の社会貢献度」調査を発展的に受け継ぎ、創刊125周年記念の取り組みとして「朝日 企業市民賞」を2004年に実施したが、現在第2回の募集を開始している。企業倫理、地域社会との共生、NPOとの連携など、「先進性」、「独創性」、「継続性」に富んだ活動の応募を呼びかけている。

朝日新聞社
朝日新聞社 第2回 朝日 企業市民賞
朝日新聞社 第2回 朝日 企業市民賞 受賞の記録


コー円卓会議日本委員会は、CSR導入支援のために、
 「CSR推進体制構築セミナー」を実施
経済人コー円卓会議日本委員会は、1994年策定の「企業の行動指針」を基に日本の法制等を勘案して開発した「CSRイノベーション」(企業の行動指針に照らして、その達成度を自己診断するシステム。2003年開発)を用いて、CSRを導入するための「CSR推進体制構築セミナー」を実施。CSR実践の普及のために重要な取り組み。対象者は経営者及びCSR担当者。

経済人コー円卓会議日本委員会
経済人コー円卓会議日本委員会 企業の行動指針
経済人コー円卓会議日本委員会 CSR推進体制構築セミナー


日本能率協会は、CSR経営の普及を促進するために、
 「CSR経営推進協議会」を設立
  社団法人日本能率協会は、「CSR経営」の普及・提言、「CSR経営」のベスト・プラクティスの研究と定期的な発表、CSR人材の養成・強化、「CSR経営度評価」による自己診断の検討を目的として、2004年9月に「CSR経営推進協議会」を設立。委員長は谷本寛治氏(一橋大学大学院商学研究科教授)。CSR先進企業34社が参加。既に第1回協議会を開催し、次回は3月に開催する予定。また、下部組織として「CSRマネジメント推進フォーラム」を設置、指針や管理ツールの検討を開始。
 
  日本能率協会 HP
CSR経営推進協議会 HP
CSR経営推進協議会 CSRマネジメント推進フォーラム


国連人権高等弁務官事務所が、「企業と人権」について提案を受け付け
  本年4月の第60会期で、国連人権委員会は、国連人権高等弁務官に対し、「人権に関する多国籍企業及びその他の企業の責任に関連する現存のイニシアティブと基準、とりわけ国連文書E/CN.4/Sub.2/2003/12/Rev.2に含まれる規範案の範囲と法的地位を明らかにし、かつ顕著な問題点を特定する報告書を作成する」よう要請した。この決定に基づき、人権高等弁務官事務所は報告書の策定に取り組んでいるが、その一貫として、次の項目に関して、各方面からの意見を募っている。締め切りは2004年9月30日。
 
  • 人権に関する多国籍企業及びその他の企業の責任に関連する、現存のイニシアティブと基準を特定すること。
  • これらのイニシアティブの範囲と法的地位を特定すること。
  • いずれかの顕著な問題点を特定すること。
 
  国際連合人権高等弁務官HP
  国連人権高等弁務官事務所 企業と人権に関する報告書(欧文)


国際連合グローバルコンパクトは、第10原則を盛り込む
 国際連合と企業が直接、労働・人権・環境について誓約を行うグローバル・コンパクトは、本年6月24日、ニューヨークの国連本部でリーダーズ・サミットを開催した。この会議では、グローバル・コンパクトの実施に関して、世界各地での実践報告が行われたほか、特に注目すべき変化として、腐敗・汚職の防止を採択した。
国際連合グローバル・コンパクト(日本語)
国際連合グローバル・コンパクト(英語)
国際連合グローバル・コンパクト・リーダーズ・サミット 仮報告書(日本語)


政府各省で、CSRに関わる研究がまとめられる
 企業が経済面のみならず、社会面・環境面における取り組みを進めるべきだという、いわゆる社会的責任の取り組みは、基本的に市場・社会からの要請に応じて、これまで企業の自主性に任されてきた。しかし、国際標準化機関(ISO)における規格化の動きや、社会的責任投資(SRI)など、一定の基準を策定する動きが活発になるにおよび、政府各省もCSRに関わる施策のあり方について、検討をはじめている。それぞれの研究会では、それぞれの考え方を取りまとめ、中間報告書を公にしている。
経済産業省
 企業の社会的責任(CSR)に関する懇談会 中間報告書(案)
厚生労働省
 労働におけるCSRのあり方に関する研究会 中間報告書
環境省


国際標準化機関(ISO)が、社会的責任に関する国際会議を開催
 国際標準化機関(International Organization for Standardization, ISO)では、現在企業の社会的責任(ISOの用語では、Social Responsibility, SR)の規格化に関する議論が進められているが、本年4月、技術管理委員会の下に設けられた「社会的責任に関する諮問グループ」(ISO Advisary Group on Social Responsibility, SAG)が報告書をまとめた。これを受けて、ISOは、本年6月21日・22日、スウェーデンのストックホルムにおいて、多様なステークホルダーを招いて国際会議を開催し、第三者認証を目的としないガイダンス・ドキュメントとして規格化を進めることを決めた。
国際標準化機関(英文・仏文)
国際標準化機関・社会的責任に関する国際会議HP(英文)


欧州連合のマルチ・ステークホルダー・フォーラムが、
                   
CSRに関する議論を終える
 欧州連合では、2001年の「CSRに関するグリーンペーパー」策定以後、欧州におけるCSRのあり方に関して議論を積み重ねている。とりわけ、2002年の「CSRに関する通達」に示された「実行可能な枠組み」に基づいて、これまで三波にわたって、マルチ・ステークホルダー・フォーラム(EMS)での会合を開催してきた。本年4月、CSRに関する知識の向上や中小企業のCSR、CSR実務の多様性等、さらにCSR発展に関する4円卓会議は、その議論を終え、最終報告書をまとめた。これを受けて、EMS総体としての報告書を、欧州委員会に提出した。
欧州連合・企業の社会的責任HP(英文)
欧州連合・マルチ・ステークホルダー・フォーラムHP(英文)



国際連合人権委員会は、人権に関する多国籍企業・
     その他の企業の責任に関する規範案に「留意」
 国際連合(UN)の人権委員会は、昨年の国際連合人権の促進と保護に関する小委員会(人権小委員会)が採択した「人権に関する多国籍企業及びその他の企業の責任に関する規範」(案)に留意し、この規範(案)の内容に関する報告書を作成する目的で、各国・企業・労働者団体・各国際機構・NGOと協議を行うよう、経済社会理事会に勧告。しかし、規範(案)に予定される監視機能に関して、小委員会に差し控えるべきこともあわせて勧告した。
国連広報センター
国際連合人権高等弁務官HP
国際連合人権委員会決定(英文) (和訳)
国際連合人権小委員会決議(英文) (和訳)