昨年夏に南アフリカ共和国で開催された、「反人種主義・差別撤廃世界会議(以後ダーバン会議)」以降、この分野でどのような動きが見られるか、国連の取り組みを中心に報告がされた。とりわけ、それぞれのフォローアップ活動に新組織の編成を含んでいる、<1>国連人権高等弁務官事務所と<2>国連人権委員会の動向が紹介された。
<1>国連人権高等弁務官事務所による反差別ユニットの設立
ダーバン会議で採択された宣言と行動計画の実施に責任をもつ組織として、国連人権高等弁務官事務所内に、反差別ユニットが作られた。このユニットの任務には、国家、国連機関、国内人権機関やNGOが、ダーバン宣言と行動計画を実施するためにとった行動を収集し、国連人権委員会と国連総会に年次報告書を提出することが含まれている。また、毎年出版物を通して、宣言と行動計画の実施面で前進したところ、実施過程での課題や問題点を広めることもする。
<2>国連人権委員会決議(第58会期:今年3月〜4月)で意図された3つの新組織
1) 多国間作業部会の設立
ダーバン宣言と行動計画の効果的実施にむけた勧告を作成する他、人種主義、人種差別差別、外国人排斥および関連する不寛容に対抗するための国際法をアップデートし、強化するための国際基準を用意することをその作業部会の任務とする。
2) アフリカ人の子孫についての独立した専門家5人から成る作業部会の設立
世界各地に離散してに住んでいるアフリカ人の子孫が直面している人種差別の問題を研究するために、公聴会を開くことを含めて、政府、NGOなどからあらゆる関連情報を収集することや、アフリカ人の子孫が被っている人種差別を撤廃するための短期的・中期的・長期的方策を提言することが任務に含まれる。次期人権委員会には、この作業部会からレポートが提出される。
3) 高名な独立した専門家5人を国連事務総長が任命することの重要性を決議で強調