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国際人権部会・学習会報告
1998年5月19日
中国少数民族の状況について

(報告)李興亜(中国少数民族対外交流協会秘書長、国家民族事務委員会副司長)

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 中国少数民族対外交流協会は、中国の少数民族が世界の民族、民間組織、海外中国人、華僑との相互理解や経済、文化、科学技術、教育などの領域において交流を促進する目的で、国家民族事務委員会のもとに、1991年に設立された民間組織。

 中国には56の民族が暮らしており、そのうち漢民族を除いた55が少数民族である。人口では中国の総人口12億の8%強つまり1億人余りが少数民族だが、居住地域は200県にもおよび、居住面積は全国土の64%を占めている。

 中国政府は民族地域自治という制度をとっているが、これが少数民族政策を理解する上で重要な制度である。自治の実行は憲法で保障されていると共に、民族地域自治法が制定され、地域において自主的な行政、経済建設、民族的な文化や教育などを推進する権利が保障されている。

 上級の国家機関は民族地域の状況に応じた政策決定をしなければならず、それに合致しない場合は自治政府が否定する権利を持っている。従って、法律上は少数民族が自分たちの利益を守る権利を認めているが、それはもちろん国家の指導のもとで、つまり憲法の許す範囲内で行わなければならない。

 現在すでに民族自治地域は156に達しており、そのうち行政単位の大きい順に言うと自治区は5つ、自治州は30、自治県は121ある。また民族数では45の少数民族が民族地域のもとにあり、つまり7千万人余りが自治権を享有している。


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 法律で民族間の平等や相互扶助を保障する一方で、民族間の差別を煽るような行為に対しては刑法上の処罰規定もある。

 少数民族は、おおむね辺境地域に住み教育水準が低いため、改善策が採られている。民族の言葉と漢語の2つで教育を行う学校を建設(小学校から大学)したり、一般の大学入試では少数民族の受験生に点数を加算し入り易くする制度も設けている。

(藤本伸樹)