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国際人権部会・学習会報告
1999年5月24日
ダリット国際組織(DIO)のめざすもの

(報告)M.G.パンディサン(DIO代表、マレーシア上院議員)

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 ダリット国際組織は、インドを始めとする南アジア諸国、そしてマレーシアなど世界各地に散在する約3億人のダリット(被差別カースト)に対する差別撤廃を目的に、マレーシアを拠点に私たちが結成した国際組織である。インド、アメリカ、カナダ、英国などではその地域委員会が組織されている。

 マレーシアでの活動の基盤は、私が党首を務める政党・インド人進歩戦線(IPF)で、ダリットの党員約50万人を擁している。

 マレーシアでは、政府自体は差別政策をとっていないが、インド系社会では根強い差別が続いている。例えばインド系の人の結婚相手が、中国系あるいはマレー系などと異なった民族の場合には不問にされるカーストも、インド人同士でカーストが異なれば問題になる。かりに、ダリットが上位カーストと結婚した場合でも、相手の親族から一生見下げられるのである。

 カースト差別は死後の世界にも及んでいる。墓石を見ればその人物がダリットであったかどうか、一目瞭然なのである。上位カーストの場合、墓石にはカースト名が必ず刻まれるのだが、ダリットは氏名が記されるにすぎないからだ。

 上位カーストはいつでもカースト名を堂々と名乗る一方で、多くのダリットは劣等感を抱いたり、自分の出自を隠しながら生活を送っているのである。しかし、ダリットはアンタッチャブル(不可触民)などではなく、尊厳を意味するのだ。私たちダリットは誇りを持つとともに、現実から逃げてはならないのである。団結して、現在に至るまで3000年以上もしぶとく続いているカースト差別をなくしていかなければならない。

 私たちが、マレーシアで組織していくうえで、とりわけターゲットとしているのは女性と青年層である。確かにダリットの人びとは、仏教、キリスト教、イスラム教、またカーストを体系化しているヒンドゥー教にとどまりながら差別と闘うといった具合に信仰は異なるものの、宗教の違いによって分断されるのではなく、ダリットであるということで団結を図らなければならないと考えている。

(藤本伸樹)