1998年に発生・発覚した差別事件のうち、特徴的な事件について事件の概要を紹介し、意見交換をおこなった。
大阪では、「差別身元調査事件」が発生し、判明しているだけでも1400社以上の企業がこの調査会社と契約し、身元調査などをおこなっていた事実が明らかになり、中央本部では闘争本部が設置され、12月に調査会社2社に対する2回の糾弾会を開催した。大阪府の立ち入り検査に対して2社は差別調査を行っていた事実を認めて「規制条例」にもとづく行政指導を受け、その内1社は、届け出違反で大阪府警南署に告発された。この差別調査事件の発覚を契機に、採用時の身元調査はもちろん、企業の採用システムのあり方そのものが部落解放運動の中心的課題として浮かび上がってきた。
インターネット通信を利用しての差別事件は、判明したものだけでも97年20件、98年20件、99年15件である。
東京では、部落出身をばらされたくなかったら500万円もってこいといった差別脅迫ハガキ事件、愛知県では、曹洞宗住職による悪質な差別事件が起きている。
意見交換では、放送中の差別的な発言にかかわってお詫びや訂正が流されるが、どこが差別なのかわからない場合も多く、現場の関係者の意識が問われている。差別事件の報道にかかわって、詳細に事件内容を報道することは、差別の再生産につながりかねず、対応に苦慮しているとの意見がだされた。
(詳細は、『全国のあいつぐ差別事件 1999年版』を参照) (本多和明)