制作の意図は?
研究所高校部会では、新学習指導要領における「総合的な学習の時間」と「情報」という教科の中にいかに人権の視点を入れていくか、そしてそのためのプログラムと教材はどうあるべきかをテーマとして昨年から論議を重ねてきました。
高校生の時期は、子どもの頃から勉強やスポーツや遊びにがむしゃらに突っ走ってきて、ふと疲れや迷いが生じやすい年頃です。中には学校教育における敗北感から自分の進路や将来の展望を見いだせずにいたり、一線系の既存の価値体系を容認し、そこからの逸脱をマイナスと考えてしまうような姿も見うけられます。そして、そんな生徒たちの意識や感性に大きな影響を与えているものの一つにマス・メディアがあるのではないでしょうか?
生徒たちが自分の「ものの見方」や「考え方」を丹念に見直していくならば、メディアの影響力がいかに大きいか、また、自分の意識や感性に「思いこみ」「一面性」「偏見」といったものがどれほど入り込んでいるか、といったことを発見するにちがいありません。そのような発見を通して、生徒たちはメディアとのつきあい方を学びはじめるでしょう。そして、それは個性ある生き方をつくりだしていく出発点ともなるでしょう。
私たちは、生徒たちがほんとうに自分らしい生き方を発見し、さわやかに自己表現できるようになってほしいとの願いをこめて本書をつくりました。