第1次みのお市民セミナー<まちづくり編>の取り組み
〜生涯学習におけるまちづくりプログラムの試み〜
(報告)今峰秀樹(元箕面市中央生涯学習センター職員)
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従来より箕面市の生涯学習は、一言で言えば、市長部局、教育委員会を始めとするさまざまな部局、さらに市民活動グループが、広がりや深まりを持った多種多様な講座・事業を展開しているという状況であった。
そんな状況の中で、1994年、公民館・生涯学習センター運営審議会などにおいて、市民や担当職員がそれぞれ「箕面市で行うべき生涯学習・社会教育とは何か」を模索し始めた。
1995〜96年にかけて運営審議会で議論した内容は、『市民大学システムの構築について(答申)』にまとめられ、その後の講座システムを方向付けた。その方向性の1つは、「受け身ではない主体的な市民へ」、もう一つは、「生活に根ざした学習」、そして最終的には、「市民と行政とが対等な関係を目指す」ということであった。そんな流れの中で、従来の講座とは異なる継続的・系統的な学習システム「みのお市民セミナー」の構想が生まれ、1996年10月より開催された。
本セミナーの特徴は、‡@3年にわたる長期的な講座であること、‡A始めの2年間、4学期にわたる学習プログラムが系統立っていること、‡B講座生が自らテーマを決めて自ら調査・研究する「個別テーマ学習」の制度を取り入れていること、‡C緊急の社会的な課題をテーマとすること(「地方自治」「NGO・NPO・市民活動のあり方」「高齢者福祉を通じて考える住民自治」「新しい学校・家庭・地域のあり方をめざして」など)、である。
このテーマ設定や学習方法(参加型、現地見学)、セミナーの形態(専門的系統的な知識と市民感覚とを調和させたもの)については、公募の市民や研究者等、5人で構成されるカリキュラム策定会議で意見をいただき、決定した。
このようにして出来た第1次のプログラムは、「地方分権の流れの中で、自分たちのまちをいかに自分たちで創りあげていくか」という視点から、まちづくりに真正面から取り組んだ内容となった。定員20人のところ、各学期25人以上、多くは50人の応募があった。
この<まちづくり編>の主な成果としては、‡@運営方針に対する市民の理解:行政批判に終わらず、自ら提言、行動するということに理解が得られたこと、‡A地域活動グループとのネットワーク化:箕面で活動するグループに講師を依頼することで市民どおしの橋渡しができたこと、‡BNPOや大学との協働・連携:NPOとプログラム作りから運営まで協働できたり、講師の研究室の学生が参加したり、大学で交流会が持たれたりしたこと。
反省点としては、‡@学習時間の不足、‡A講師の不連続性、‡Bグループワーク、議論の積み上げの困難さ、等が挙げられる。
担当者として特に印象的だったのは、「個別テーマ学習」。地方自治、高齢者福祉、教育の3グループ、20人で進められ、それぞれ考究されたが、その調査・研究される視点が、「生活者」としての視点であったことが素晴らしかった。また担当者としては、テーマが地域的な課題の解決を目指しているので、調査・研究を進める上で市行政との橋渡しがとても難しかった。
最終的にグループごとにまとめられた箕面市への提言は正式な要望書という訳ではないが、市長や教育長へ報告することもでき、いろいろな意味で講座生それぞれに大きな収穫があったように思う。
今後、修了生の主体性を活かすような支援のあり方が問われているが、これについてはできるだけ綿密な情報提供・交換しかないのではと思っている。
これからも市民の皆さんと互いに元気の交換をしながら、共に歩んでいきたいと思っている。
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