調査研究

各種部会・研究会の活動内容や部落問題・人権問題に関する最新の調査データ、研究論文などを紹介します。

Home調査・研究部会・研究会活動成人教育 > 学習会報告
部会・研究会活動 <成人教育部会>
 
成人教育部会・学習会報告
2002年2月4日
「『成人教育に関わるケーススタディ』進め方について」

 前回の第6回部会(12/17)では、成人教育に関わるケーススタディについて事務局で把握できた事例をもとに、来年度に取り上げるべき事例を絞り込むための議論を行う予定だったが、事務局の準備不足もあり、絞り込むにあたっての視点・基準を整理すべきではないか、成人教育と成人基礎教育に関する理論的整理が必要ではないか等の意見が出された。

 これらの意見も加味して、事務局会議では2002年度内に「成人教育に関わるケーススタディ」の報告書をどのようにまとめるかを議論し、事務局案をまとめてこの第7回成人教育部会で提案した。

 成人教育および成人基礎教育、また参加型学習に関する理論的整理と、具体的なケーススタディからなる報告書をめざすという方向で議論がまとまった。

 さらに、事務局提案として挙げた豊中市泉丘公民分館におけるサークル活動、昨年の部会で報告いただいた亀岡市の「ワークショップで学ぶ人権セミナー」、釜ヶ崎で識字ボランティアや生きがいづくりコーディネーターとして関わってくれる人材を育成するための講座等のほか、大阪市内各区のレベルで組織されている女性会(かつての婦人会)における地域と生活に結びついた学習活動等、報告書掲載の可能性のある事例に関しても具体的な情報を提供いただいた。これらの事例は、順次部会でも報告いただける見通しである。

 前回からの継続課題となっている成人基礎教育の概念に関しては、<1>公民館などを中心に展開されている自主サークル活動と、典型的には識字のように行政責任として保障すべき自立支援事業は、それぞれ要求課題と必要課題に基づく学習に対応するといえるのではないか、<2>その中間領域的な性格をもった学習活動を構想するならば、NPOと行政とで担うことになるのではないか、<3>成人基礎教育の課題を明確にすることは、官民の役割分担とパートナーシップを考えることともつながるのではないか、といった議論がなされた。

また、泉丘公民分館のサークル活動を例に挙げ、報告書に取り上げる学習活動を講座形式のものに限らずに、もっと地域に目を向けて、学校の総合学習と結びついた地域活動や、地域におけるおとなと子どもの協同の活動など、教室の中だけにとどまらない多様な学習形態が実際にあるし、行政主催の講座と比べて、継続性や経費の面で優れた側面もあるのではないかといった意見も出された。

(熊谷愛)