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成人教育部会・学習会報告
1999年9月29日
らいとぴあ21の事業展開について

(報告)森和則(箕面市立萱野中央人権文化センター館長)

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 館の愛称「らいとぴあ21」は、ヒューマン・ライツの「らいと」とユートピアの「とぴあ」「21世紀」を合わせた造語で、市民公募により命名した。スポーツやレクリエーションも含め、すべての幸福追求の自主的営みが人権文化の創造につながっているという考え方に立って、「人権文化の創造」を支援する場としてすべての市民のために開かれている。

 被差別部落である北芝地区(180世帯、700人)のための施設、萱野文化会館と萱野青少年会館を、らいとぴあ21としてリニューアルするにあたっては18億円をかけ、同和問題のみならずあらゆる人権をテーマに、いつでも誰でも気軽に立ち寄れる施設として、エントランスゾーン、図書コーナー、展示コーナーを設けている。

図書コーナーは情報提供の場として視聴覚教材も揃え、子どもの頃から文字文化に親しめるよう6割を児童書としている。エントランスゾーンは語らい・団らん・憩いの場、差別・偏見にとらわれない自然な形の住民交流の場として、通りがかりの人や下校途中の子どもたちも集まってくる。

文字が書けないとか書類が難しくて読めない、といった差別の結果への対応や、周辺住民への利便性を図るため、市民サービスコーナーも設けているが、利用が少なく議会で問題にされている。

 人権文化を推進するための事業展開にあたっては、共同・理解・創造の3つの視点を据えて、多くの住民の関心を拾い上げ、魅力あるものにしようと努めている。具体的には、最初に利用登録すれば午前9時から午後10時まで自由に使える共用スペース「ひゅーまん」を設けて、様々な市民グループの自主的活動を支援したり、事業の企画段階から市民の参加を得るなどして「共同」を進めているほか、館周辺の子どもだけではなく、市域全体の子どもの参加を通じて相互信頼関係をつくり、相互の「理解」を深めたり、北芝の古老からの聞き取りをはじめ、北芝の伝承文化の掘り起こしだけでなく「創造」の側面を取り入れ、周辺の人々の参加も得て「解放太鼓」などの活動を支援している。識字についても単なる読み書きではなく、創造の視点を入れた新しい文化表現をめざしている。

 特徴的なのは「市民もちこみ企画」で、人権・国際交流・福祉・環境・平和などをテーマに、職員よりも専門的知識をもち実践面でも経験の豊富な市民に主体になってもらい、企画から実施まで支援するというものである。らいとぴあ21に事務局をおく箕面市人権啓発推進協議会主催の「市民による人権・平和の企画コンペ」も箕面市人権宣言の精神に則り、市民による企画について公開審査を行い、50万円の事業助成をしている。

 館主催事業では市民の問題意識をつかむ企画をめざしているが、親子教室などの子育て支援講座は人気が高く、女性のアサーティブネス講座も計画中である。萱野文化会館の頃から引き続いて行っている隣保事業は、同和対策事業の一般施策化に伴い、2000年度からは一般向け事業のなかに地区の課題やニーズを取り込みながら、誰もが参加できるような形態の事業として進めていく予定にしている。

 紙数の都合で、質疑応答の内容については割愛させていただく。

(熊谷 愛)