1.はじめに
 大阪市における女性学級は、大阪市地域女性団体協議会(以下、市女性会)メンバーを学習主体として、区レベルの区女性学級と小学校区を基礎とする地域女性学級が取り組まれている。行政サイドは、区においては各区役所区民企画室市民活動推進係が、全市的には市民局男女共同参画課がそれぞれ窓口となって女性学級を支援している。区女性学級には、大阪市内24区のうち隔年で12区ずつ予算面も含めて支援する国庫補助による区女性学級と、その他の12区で市女性会の自主事業として実施する市女性会区学級があるが、通常「区女性学級」というと、この前者を指す。ここでは、後で述べる理由で地域女性学級を中心に紹介し、一部は国庫補助による区女性学級についても取り上げる。
2.社会教育関係団体としての市女性会
 大阪市の女性学級を語る際に欠かすことができないのが、市女性会の歩みとその活動である。市女性会は、戦後教育改革の仕上げ段階と言える社会教育法の制定と同年の1949年に、米軍政部による民主的婦人団体育成の意向を受けた市教委社会教育課の働きかけのもと、大阪市内の60の婦人団体が集まって、相互の連絡と女性の地位向上を目標とする「大阪市婦人団体連絡協議会」として発足した。(『大阪市地域婦人団体協議会50年のあゆみ』2000年)
 発足当初から統制経済下の消費生活と生活のなかの民主化についての学習会を始めるとともに、生活合理化にむけた新生活運動やジェーン台風時の災害救助活動への参加、またヒロポン撲滅運動、やや後には売春防止運動などの社会運動も展開していった。そうしたなかで、市女性会は「公の支配に属さない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とする」(社会教育法)という社会教育関係団体としてのスタンスを一貫して重視しており、活動の基礎に学習を置くという作風を早い時期から打ち立ててきた。
 以後、戦後大阪の歩みと軌を一にして、生活と地域に密着したその時々の課題を中心に活動し、居住する地域を基盤に半世紀以上の活動を重ねて、2002年現在231の単位女性会(小学校区)組織と14万人会員を有している。現在の名称に改めた(「婦人」を「女性」に変更)のは2001年で、2002年10月には男女共同参画社会の形成にむけた条例の早期制定を求める要望書を大阪市に提出するなど、男女共同参画社会の実現をめざした学習と実践にも取り組んでいる。
3.女性学級の発足と発展
 女性学級(大阪市における1992年以前の名称は「婦人学級」だが、以下の文章では複雑さを避けるため、それ以前についても事業の総称としては女性学級と記し、個々の特定の事業については実施時の名称で記述する)は、社会教育関係団体としての市女性会の屋台骨をなす取り組みである。大阪市で女性学級が開始されたのは1957年からで、それに先立って当時の文部省は1954年から56年にかけて各地で「実験社会学級」を実施し、その中で委嘱事業としての婦人学級事業に着手していた。当時は、全国的に地域の課題を話し合いで考えていく共同学習の運動が各分野でさかんに実践されており、女性学級の発足もそうした趨勢の一翼だったといえる。
 1957年度は文部省委託の1学級と25の単位婦人学級(地域女性学級)が開催され、合理的な家庭生活・社会道徳・環境衛生・政治意識等のテーマが取り上げられた。翌1958年度には、「婦人と政治」や「子どもの教育」等のテーマについて、講演→グループでのディスカッション→発表・検討というバズセッション方式による学習事例が報告されている。
 1958年に第一回目の婦人学級研究大会(現女性学級研究大会)が開催され、文部省事務官による基調報告「大都市における婦人学級の進め方」と、「商工都市における婦人の政治教育の進め方」「指導者の資質の向上について」「社会福祉と婦人団体」の各分科会討議を行った。この各地域での女性学級と、年に1回学習経験を持ち寄って次回の企画にフィードバックしていく女性学級研究大会の組み合わせは、女性学級事業の基本スタイルとして今日まで受け継がれている。
 女性学級は、学習活動を基本とする市女性会の作風のもと、特に単位女性会で実施する地域女性学級の新規開講が進み、1970年度に52学級、1980年度に140学級、1990年度に215学級、2002年度には234学級の地域女性学級が開催されている。この間、女性施策および男女共同参画施策の進展にともない、市女性会全体について1988年度から、女性学級事業について2001年度から、行政側の所管が市教委より市民局へと移管されたが、社会教育関係団体と社会教育行政とのパートナーシップでつくり育んで来た学習重視の視点は、移管後の今日もしっかりと堅持されているといえよう。
4.女性学級の現況
 (1) 女性学級の種類とねらい
 現在、女性学級は冒頭でも述べたとおり地域女性学級、国庫補助による区女性学級、市女性会区学級の3種類があり、それぞれ次のねらい等を持つ。
  <1>地域女性学級
 大阪市から市女性会へ委託して開催する委託学級。各単位女性会において、地域での日常生活から学習課題を見つけ出し、学習の当事者である女性自身が運営委員会を組織して企画・運営を行うもの。地域の集会施設などを会場として基本的に全単位女性会で実施している。各学級では年間6回計10時間以上学習し、委託料は1学級3万3千円。
  <2> 区女性学級(国庫補助)
 各区の単位女性会が区レベルで集まって組織している各区女性会と各区役所の市民活動推進係が連携し、区内の地域女性学級運営委員をはじめとする女性の学習リーダーの養成をめざして開催するもの。市内24区のうち隔年で12区ずつが、区の施設などを会場に開催している。現在は「地域NPOとの連携による地域学習活動活性化支援事業」として文部科学省の国庫補助金「地域・家庭教育力活性化推進費補助金」を受けている。年間20時間以上学習し、各区への予算配分は20万円。
  <3>市女性会区学級
 市女性会の自主事業で、<2>の区女性学級と交互に隔年で12区ずつ開催し、市女性会のリーダー養成の位置づけをもつ。
 (2) 年間スケジュール
 女性学級の実施にあたっては、まず区および単位会の女性学級運営委員を対象とした開設説明会および研修会を5月初旬に実施している。ここでは各女性学級の具体的な事務説明と合わせて、あらためて女性学級の趣旨・目的を再確認し企画・実施の視点を明確にするとともに、学習に関連するテーマについての学習を行う研修会を持っている。過去3年の講師とテーマは次のとおりである。
- 2000年度 「女性学級をひらくために」
 講師 龍谷大学教授  上杉孝實
 
- 2001年度 「いよいよ共同参画社会 私たちの出番」
 講師 産経新聞編集委員 細見三英子
 
- 2002年度 「学ぼう、つくろう、仲間たち〜男女共同参画の地域をめざして〜」
 講師 生活評論家    三輪昌子
 
 説明・研修会を受けて、ほぼ5月中に区と地域でそれぞれ計画書を作成し、区に対しては予算配分の手続きを行う。地域女性学級については5月下旬に市女性会役員と市民局男女共同参画課職員による全学級の面接を行い、計画が女性学級の趣旨に合致しているか、また委託にあたっての要件を満たしているかについての学習相談を実施している。実際の学級は6月から翌年2月の間にそれぞれ実施し、それらの成果を持ち寄って3月下旬に先に述べた女性学級研究大会を開催している。
 2001年度の女性学級研究大会では、助言者の指導と講評をおり込みながら、全体会での1区女性学級と3地域女性学級から学習実践発表に続いて、4分科会に分かれて<1>女性学級の企画、運営(テーマ、内容、学習方法など)および、<2>学習の成果、実践への発展について討議し、さらに再度の全体会で分科会の報告と全体討議を行った。各学級では、研究大会での議論を参考にして、次年度の企画の構想に着手された。
5.地域女性学級について
 学習の当事者性と地域密着性といった内容面からも、また量的比重の面からも、地域女性学級は女性学級事業の中核といえる。開設説明会の資料や女性会会員むけのオリエンテーション冊子『女性学級を開くために』も、もっぱら地域女性学級の運営委員を主たる読者に想定して作成している。そのうち地域女性学級の趣旨と内容を端的に記載している説
明資料「地域女性学級の企画にあたって」を以下に引用する。
| 
地域女性学級の企画にあたって
 
  女性会は、「学習活動」と「地域活動」を大切な二本の柱とされています。この二本の柱は、学んだことを地域での活動に活かすことと、地域活動の中から学ぶテーマを見いだすという点で、まさに「車の両輪」のような関係です。  地域女性学級は、女性会の地域活動に活かしていく糧となる学習の場として実施しています。同時に、大阪市が大阪市地域女性団体協議会に委託して開催しているものであり、最小限守っていただく基準があります。
  学習時間、回数、学級の人数など 
テーマに沿った学習内容を一連のまとまりとして学ぶために、学習時間は年間のべ10時間以上、回数は6回以上実施してください。受講者全員が受身にならず、離しあいなどで積極的に学習に参加できるように、学習内容・方法に工夫をするとともに、学級の人数は30人前後、多くても50名までで、全回をとおして同じメンバーで学んでください。
  学習内容 
テーマとして、女性会が地域で取り組んでいる、男女共同参画、高齢社会問題、地域福祉、くらしと健康の問題、環境問題、まちづくり、青少年問題、地域の歴史と文化などの中から、各学級で、身近で地域活動に沿った内容について、具体的な年間テーマを決めて企画・実施してください。
手芸やコーラス等、いわゆる趣味的な内容だけのものは、女性学級としては認められませんので、女性会として別の機会で実施してください。ただし、例えば「歌を通して女性の自立を考える」など、上記<1>のテーマを学ぶ素材(材料)としてしっかり位置づける企画としてなら、おおいに取り上げていただいてけっこうです。
 
教室の中で座って学ぶだけでなく、施設見学、現地見学、実習等の現場での学習も、年間学習テーマに沿った内容で必要に応じて積極的に実施してください。郊外学習を実施する場合も、テーマに沿った現地学習が原則です。ただし、学習をより効果的にすすめるための受講生相互の「なかまづくり」を目的とする場合は、学習の一環ということを押さえていただいた上で、1回を限度に認めます。
 なお、郊外学習では、移動にかかる時間や食事等に時間は学習時間に含まず、現地での実際の学習時間(2時間半をめど)を計画書に書いてください。
 
 
  その他
 
地域女性学級は、地域で企画し、学ぶことが大切ですので、区での合同開講式や合同閉講式に参加する場合は、所定の時間数、回数には含みません。計画書には、地域で企画・実施するプログラムのみを書いてください。
また、「女性のつどい」や、人権の集い、また防火クラブの行事など、区や他団体が主催する各種事業への参加は、たいへんよいことですが、女性学級とは別の事業として、所定の時間、回数に は含まないようにしてください。
講師については、テーマを学ぶためにふさわしい人であれば、女性学級の趣旨をしっかり伝えたうえで、外部の専門家でも地域の人材でも積極的にアタックしてお願いしましょう。 | 
 学習内容として例示されている分野は、いずれも実際に女性会が日常活動の柱として取り組んでいるテーマと重なっており、実践に役立てやすい学習課題となっている。また、時間や回数にやや力点を置いているのは、地域で自分たちがつくっていく自主的な学習の時間を自覚的に確保してもらうためであり、受講者数に上限を設けて全回同じメンバーで学ぶのは、話し合いを重ねて認識を深める共同学習の効果をあげるためである。 
6.実践事例
具体的な学級の実践例として、2001年度の女性学級研究大会の全体会で報告された事例を紹介する。
 (1) 地域女性学級
  <1>北区 S女性学級「わが町北区 今・昔 〜昔のことを調べてみましょう〜」
| 回 | テーマ | 学習方法 | 講師ほか | 
| 1 | 開講式 昔にもどってみましょう | 話し合い | 単位女性会会長 | 
| 2 | 少し前の大阪の町へ行ってみましょう | 体験学習 | 住まいのミュージアム見学 | 
| 3 | 戦前の中崎町界隈 | 講 義 | 草の根郷土史研究家 | 
| 4 | 大阪大空襲「今こそ平和のことを考えましょう」 | 体験学習 | ピースおおさか見学 | 
| 5 | 戦中・戦後の事をみんなに伝えよう | 話し合い | 単位女性会会長 | 
| 6 | 北区 今・昔 | スライド学習 | ドキドキ考古学(市民グループ) | 
| 7 | 曽根崎界隈の今・昔 | 見学・講義 | 露天神禰宜 | 
(特色)参加者相互の話し合い、体験学習(見学)、視聴覚教材の活用など、講義と合わせて多様な学習方法を取り入れつつ、地域の歴史をたどることにより、地域社会の成り立ちと変遷を見つめている。
  終了後の展望として、地域の歴史を参加者自身を調べていくことが想定されており、ユネスコ学習権宣言での「歴史を綴る権利」への糸口ともなりうる芽をもっているといえよう。
  <2>福島区 T女性学級「うるおいのある自然とのふれあい」
| 回 | テーマ | 学習方法 | 講師ほか | 
| 1 | 地球環境の現状 | 講 義 | 中央保健センター所長 | 
| 2 | 私達で出来るごみ減量 | 講義・ビデオ | 西北環境事業センター職員 | 
| 3 | 私達の出すごみの行く末 | 施設見学 | 環境事業局舞洲工場 | 
| 4 | せせらぎに自然を求めて | 郊外学習 | 生涯学習インストラクター | 
| 5 | 環境と体にやさしい食品選び | 講 義 | 環境NPOリーダー | 
| 6 | 次年度にむけて | 話し合い | 運営委員 | 
(特色)女性会の活動の主要な柱のひとつである環境問題について、生活現場から外部環境への負荷(ごみ問題)と、外部環境から生活現場への負荷(食品をめぐる問題)の両面をはじめ、地球規模の環境問題から身近な環境(4回目の「せせらぎ」は歩いて行ける淀川河川敷)にいたるまで、暮らしに直結させて多面的、構造的に学習している。地域住民による環境学習として高い水準を持つとともに、地域での実践と学習がむすびついた好例といえよう。
  <3>西区 M女性学級「新しい出会いに期待して」
| 回 | テーマ | 学習方法 | 講師ほか | 
| 1 | 地域歴史との出会い | 見 学 | 住まいのミュージアム | 
| 2 | 環境との出会い | 見 学 | 環境事業局舞洲工場 | 
| 3 | 手仕事との出会い | 実 技 | 運営委員 | 
| 4 | 異文化との出会い | 講 義 | エジプトからの留学生 | 
| 5 | 防災との出会い | 講義・実習 | 西消防署 | 
| 6 | 手話との出会い | ビデオ学習 | 運営委員 | 
| 7 | 一年間の出会いから得たもの | 話し合い | 運営委員 | 
(特色)一見テーマに一貫性がないように見えるが、日常生活の上のさまざまな側面を「出会い」という視点から主体的にとらえて学ぶことにより、暮らしを見つめて自分がそれぞれの回のテ−マとどうかかわっていくかを考える契機としている。 
   なお、第6回目は、当初依頼していた講師が急に都合がつかなくなった中で、受講生の家族が持っていた手話通信教育の教材を急遽使って実施したとのことで、そうした融通性も地域女性学級のよさのひとつである。
 (2) 区女性学級
  ・住之江区女性学級「21世紀 女性として輝くために」
| 回 | テーマ | 学習方法 | 講 師 ほ か | 
| 1 | こころ豊かに生きる―自立と共生の心― | 講 義 | 天理大学人権教育推進室臨床心理士 | 
| 2 | 浪速の人物再発見―ねねと淀どの― | 講 義 | 地域史研究者 | 
| 3 | 浪速の人物再発見―大石順教尼― | 講 義 | 地域史研究者 | 
| 4 | 仲間づくり | 社会見学 | (但馬探訪) | 
| 5 | 浪速の人物再発見―人見絹枝― | 講 義 | 地域史研究者 | 
| 6 | ドメスティック・バイオレンス | 講 義 | 女性と仕事のエンパワメント関西代表 | 
| 7 | 男女共同参画社会基本法 | 講 義 | 産経新聞大阪本社編集委員 | 
(特色)大阪に関わりの深い人物をとおした女性史を連続で学び、親しみやすい題材から入りつつ、時代とともに苦難の中でも着実に前進してきた女性の自立の歩みを学ぶとともに、後半の2回で今日的課題であるDVや男女共同参画社会についても学習することにより、女性の過去―現在―未来を見据えたプログラムとなっている。歴史学習と現代の課題を連続させて学習することにより、今日の女性の活躍が先人の努力を継承発展するものであることを確認できる。
 以上、膨大な女性学級から一部の例を見た。区女性学級については区役所市民活動進係(2001年度までは区民室教育係)の果たす役割が大きい。地域学級では全て地域の女性会員によって企画・実施され、素晴らしい創意工夫がなされている。こうした学習の実践が、普段は決して目立たないが、毎年大阪市内各地域で取り組まれているのである。
7.学習支援について
 女性学級に対する行政の学習支援は、区女性学級では企画・実施・記録の全領域にわたって区役所市民活動推進係と区女性会(区女性学級運営委員)の共同の取組みとして、お
おむね次のような役割分担によるパートナーシップにより実施している。
| 必 要 な 業 務 | 女性会 | 区役所 | 
| (開設準備)・企画、予算立て、学級生募集、講師・助言者等依頼 ・計画書、名簿、予算配分関係書類作成・提出
 | 
◎ | 
○◎
 | 
| (実 施 中)・会場設営、受付、司会・進行、記録作成(日誌ほか)、次回準備 ・経費執行、精算
 | 
◎○
 | 
○◎
 | 
| (終 了 後)・報告書「大阪市の女性学級の内容」原稿作成 ・実施報告書作成、日誌・出席表・上記原稿提出
 | 
◎ | 
○◎
 | 
| 大阪市市民局との連絡 | 
◎ | 
 | 
◎が主担、○が助言・支援
 これに対して、全過程を地域で自主的に実施する地域女性学級に対する学習支援は、すでに述べた年度当初の説明・研修会と年度末の研究大会開催、および情報提供と学習相談という、いわば間接的な支援のみである。そのなかで、説明・研修会で利用し各学級に複数冊数配布しているオリエンテーション冊子『女性学級を開くために』は、地域女性学級運営委員を主な対象に想定しており、女性学級の意義と実務のノウハウを簡潔に解説している。その骨子は次のとおりである。
 はじめに―女性学級とは
- 女性学級の企画・実施にあたって
 
- 女性会活動の中でしっかりと位置づける
- よく話し合う、経験を生かす
- 地域で共に「学び」を造る
- 女性会の学習の柱として
 
 
- 学習のポイント
 
- 生活に関わる学習をする
- 自主的に学習する
- 計画的・継続的に学習する
- 共同学習をする
- 同じメンバーで学習をすすめる
 
 
- 女性学級運営委員のしごと
 
- 学習主題(年間学習目標)を決める
- 学習プログラムを組む
- 学級生の募集のしかた
- 学級を運営する
- 学級事務をする
- 講師・助言者への依頼のしかた
- 学習結果の評価をする
 (参考)講師・助言者への依頼状の例
 
 
- 多彩な学習方法で
 
- 自主性を生かす学習方法
- グループ学習をとり入れて
- 教具や教材を利用して
- 話しあいを生かして、学習方法を立体的に
- 視聴覚教材や調査・見学の利点
 
 
- 話しあい学習の進め方
 
- 話しあい学習のポイント
- 司会者の心がまえ
 
 
- 学習の成果を生かすために
 
- 学習をつづけよう
- 学習から実践へ
 
 
 この冊子は、教育委員会所管当時からの学習支援の蓄積を継承・発展させたもので、オリエンテーション時の説明資料であると同時に地域での共同学習を進める際の学習資料ともなるものである。この冊子に学習事例などを加えてより内容を充実させ、同時に実施する研修会での講演とあいまって、初めて運営委員になった人にも「ぜひ、自分の地域でおもしろい学級をやってみたい」と思ってもらえるような素材にしていきたい。
8.女性学級の可能性
 以上見たように、女性学級、特に地域女性学級は、総じて<1>暮らしのなかから学習課題を見出していくという「生活密着性」、<2>地域の女性会員が自分たちで工夫して企画・実施するという「当事者性」、<3>地域住民のコミュニケーションを重視した「コミュニティ性」、<4>実践的テーマへの学習ニーズが高い「地域活動への反映性」を持っており、ある意味では女性学級発足当時の共同学習論に基づいた地域における社会教育の原則的・典型的なスタイルの蓄積をよく受け継いでいる。そこでは学習における当事者参加の契機を当初から持っていたといえる。女性会の組織は、学習を基礎に置きつつも決して学習だけを目的に集まったものではない。しかしそのなかで、実質的に女性学級が女性会活動の主要な柱になり、そこで深まった学習成果と人間関係が地域福祉や環境向上をはじめとする女性会の多方面な日常活動に大きく役立っていることは、自主的な学習をとおした人づくりが地域づくりの原動力となっていることを示しているといえよう。
 もちろん、女性学級だけに限れば、現在の参加者は女性会会員を想定している上に、内容面でも知識の裾野を広げることを重視した基礎・基本が中心である。それゆえに女性学級で学んだ人が、例えば男女共同参画センターのセミナーをはじめとする公的な学習の場や、大学の社会人入学などより専門的な学習機会へとアクセスできるよう情報提供の充実を図っていくことが、今後の課題だと考えている。それらは再び女性学級にフィードバックされるだろう。また、何よりも女性学級で学んだ人々の地域における活躍が、男性を含めて学習の意義についての認識を広めるとともに、女性の地域社会における意思決定への参画をすすめる力となっていくと思われる。学習自体の深化と地域活動への還元は、地域における男女共同参画社会づくりの確かな基礎になるのである。
9.おわりに
 女性学級に対する市民局男女共同参画課の学習支援は、あくまで間接支援でしかない。しかし、もともと住民自身が学習の主体として学びをつくり上げていこうという作風の下では間接支援もより有効に機能する。地道な積み重ねのなかで、そうした作風を育んできた社会教育行政と、何よりも学習活動の主体である女性会会員のみなさんに敬意を表したい。