調査研究

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識字部会・学習会報告
1997年11月5日
大阪府識字学級・日本語読み書き教室等学習者調査1次データ分析結果について

岩槻 知也(大阪大学)

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この日のテーマは、「大阪府識字学級・日本語読み書き教室等学習者調査1次データ分析結果について」(大阪大学・岩槻知也)、「『日本のリテラシー・スタディーズ』講座中間報告」(大阪市立中央青年センター・花立都世司)、「大阪市識字学級経験交流会報告」(大阪市教育委員会・谷川敏子)「大阪府識字学級経験交流会報告」(田中清)の4つであったが、花立さんからは次回部会で最終報告として詳しく報告いただく予定なので、本稿では他の3つについて簡単にまとめたい。

 主報告は、岩槻さんの学習者調査についての1次データ(単純集計)分析結果についてであった。大阪府下28市町99教室から回収された1612のサンプルのうち、有効だった1594について分析した結果、以下のことが明らかになった。サンプルは、調査票の配付先に在日韓国・朝鮮人が多く学ぶ夜間中学校が含まれていないこともあり、日本人を除けば、中国帰国者を中心とする中国語を母語とする人が最も多い(全体の約1/3)。

 特徴的なのは、

  • 日常の日本語での会話がよくわかる人は40%に満たない。
  • 日本語のひらがな・カタカナ・漢字の「読み」も「書き」も、傾向としてはほとんど同じである。
  • 世の中の動きについては、友達・家族、テレビ・ラジオなど文字によらない情報に頼っている。
  • しかし、チラシや広報は自分で読む人が半数を超えている。
  • 教室に来たのは、広報より教室で学ぶ知り合いの口コミによるところが大きい。
  • 教室に来て日本語の会話・読み書きができるようになった以外に、知り合いが増えたり、人前に出ることに自信が持てたことがよかったとする人が多い。
  • 教室に対して、学習時間・時間帯を増やしてほしいのほか、困ったときに相談にのってほしいと考えている人が40%近い。

などである。

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大阪市識字学級経験交流会報告

谷川敏子(大阪市教育委員会)

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大阪市識字学級経験交流会について谷川さんから、日之出地区のビデオ劇という新しい表現の試みや、YWCAの金香百合さんによるワークショップなどを中心とした報告の後、参加者アンケートに表れない参加していない層の意識を考えることの大切さと、最近見た識字学級での学級生の意識とあまりにかけ離れた全体学習の光景を例に、部落の識字として大切すべきものは何かを考えていきたいとの意見が出された。

 これを受けて、手書きの文集は、誤字など本人にとっては恥ずかしい部分もありながら貴重で、リバティおおさかで保存してもらうなどしつつ残していきたい。

 また部落の識字が人格やセルフ・エスティームを支え合う場になっていることの素晴らしさを、金香百合さんが指摘されたが、講師が急に変わると、教室の雰囲気が止めようもなく急激に変わってしまうこわさがあるなど、参加者からも意見が出された。

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大阪府識字学級経験交流会報告

田中 清(大阪府教育委員会)

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 大阪府識字学級経験交流会について田中清さんからは、概要の報告の後、会場などのキャパシティや、予算の減少と参加費徴収の問題のほか、ローテーション方式による参加者の決定、地区交流会前の各地区担当者による打ち合わせなど地区担当者からの提案についてふれ、最近の傾向として、男性や若い層などの参加が増えているとの話があった。