調査研究

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部会・研究会活動 <識字部会>
 
識字部会・学習会報告
1998年7月6日
今後の具体的課題についての整理

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 前回から持ち越した部会活動の具体的課題・進め方を議論した。

 これまでに挙げられていた(1)高齢者の識字、(2)識字リーダーボランティア養成モデルプランづくり、(3)識字のネットワークづくり、の三つの課題について、‡@を「高齢者プロジェクト」、(2)(3)を統合して「ネットワーク・プロジェクト」と、2つのプロジェクトに編成し直して、各人が所属を決め、さらに活動の具体的内容を探ることになった。

 年間の活動としては、各プロジェクトからの報告というかたちで年に2、3回の部会を積み上げながら、(基本的には)年度末に、両プロジェクトの成果を全体で共有し、総括するとともに、次年度の方針を議論するための合宿をもつ、といったスタイルが提案された。

 「高齢者プロジェクト」のテーマとして、ひとつは前回の堀薫夫さんのお話も手がかりに、高齢者の学習論、識字論の研究を深めること也、高齢者向け教材づくりが考えられるほか、高齢者のききとりを加えれば、識字のイメージがより一層広がり、実際の識字教材としても活用できるという提案もなされ、実際に公になっているききとりに、どのようなものがあるかを調べることから始めることになった。
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 この日の議論では、特に「ネットワーク・プロジェクト」で扱うネットワークの中身をどういうものと想定するか、ということが大きな比重を占めた。現在のところ、日本語を学びたい外国人が参加できる教室が少ないため、各教室とも外国人の学習者が溢れていて、受け入れる教室が新たにできても、それにともなって学習する人も増えるという関係にある。

ボランティアで日本語教室を運営している人たちは、待機している受講希望の外国人を前に、受講希望者に受入れ可能な教室をすぐに紹介できるネットワークシステムの構築を望んでいるが、そのための運動の中心は本来的には当事者であり、識字部会はそれに連携するかたちになろう。

  解放会館の講習講座事業で日本語教室を開くということも、実現可能な選択肢としてある。また中国帰国者の場合、子どもは学校で日本語教育を保障されており、その親の学習権も公に対して要求する余地は残されており、そのもとで現在の状況も変わる可能性がある。

 部会としては、そういった運動的な課題よりもむしろ、もっと基本的なところで、関東の識字ネットワークをはじめ、海外の識字センターや識字テキストについて基礎的な研究をするとか、足もとにあるテーマとして大阪市の地域日本語教育事業について学習するといったことも可能ではないか、などの提案がなされた。

(熊谷愛)