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識字部会・学習会報告
1998年11月9日
生江支部白寿荘での識字の現状

(報告)壷井宏(大宮中学校嘱託)その他

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 生江の識字学級の講師をしてこられた壷井さんから、この間の「高齢者プロジェクト」の中間報告として生江にある老人センター「白寿荘」で昨年9月から始まった識字教室の開設の経緯から現況について、以下のような報告をいただいた。

 「白寿荘」の識字教室は、解放会館の識字学級とは異なり、大阪市の広報誌上で講師を一般公募し、応募してきた12名から昨年8月の面接で8名が採用された。採用された講師は支部の簡単な研修を受けた後、9月からスタートした。

 講師は、退職者を含め、何らかのかたちで教育に携わっている人が最も多く、その他、公務員、大学院生、民間企業に勤めている人や主婦なども含まれている。しかしながら、考え方の違いなどから辞めていく人があったので、現在では6名に減少している。

 一方、学習者は生江地区の高齢者(大半は女性)であり、地区外の人は含まれていない。9月開講時に比べると口コミで参加者は増えているのに、逆に講師は減っているという問題がありながら、再募集できない事情があるようだ。

 学習形態としては、講師が少なく、各地区識字学級で多く採用されている講師と学習者の1対1の学習スタイルがとれないため、全体を2つに分けて話し合い学習、というのが中心になっている。時には草鞋編みなどのような手作業を取り入れることもある。お祭りや古くからのしきたりなどの聞き取りも行っているものの、まだまとめるには到っていない。

 学習内容は学習者の希望なども聞きながら前回に決定され、それにもとづいてプリント教材をつくったりしており、特に年間を通しての学習計画を立てているわけではないようだ。学習内容や教材についてはもう少し詳しく調べたい。

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 この後、府下の識字学級と日本語学級などの間のネットワークをテーマに、まずは日本語教室の開設・運営に関わってきた人たちにインタビューを始めた「ネットワーク・プロジェクト」による「旭区にほんご教室」の養父勇さんのインタビューを中心に、養父さんから報告いただいた。

 インタビューは、1.「旭区にほんご教室」を(1)なぜつくろうと思ったか、開くことのできた理由は何か、(2)開講・運営するうえで識字の経験がどう活かされているか、2.識字や日本語教室に関わるなかで(1)必要なことや技術は具体的に何か、(2)その他特に気をつけてきたことは何か、(3)失敗したと思ったことは何か、といった内容にわたっているということだったが、詳細については、当日のテープ起こしのまとめを待ちたい。

 このなかで、部落の識字も外国人の識字も人権が根底にある、という話が出たのを受けて、日本語教室のボランティアには、人権の視点なしに国際交流だけを目的に来る人も少なくなく、部落の識字とは溝がありすぎて、現実にネットワークなど成立しがたい部分もある、との厳しい意見もあった。

(熊谷 愛)