1990年の国際識字年をきっかけに、部落の識字は新たな勢いをもつようになりました。部落の識字だけではありません。夜間中学校の充実や増設を求める運動を高まっています。公民館などにおいても識字学級や日本語教室が広がっています。最近の特徴はアジアや南米から来た外国人の参加がいずれの教室でも増えていることです。 国際識字年の後、さまざまな識字の場に集う人たちが交流するようになりました。交流することでお互いが自らの課題を発見し、豊かになってきました。部落の識字も例外ではありません。
学習者の要求が多様化するなかで、学習者がもっと運営に関わるようにできないか。暮らしに役立っ力を確実に培えるような指導の手だてはないのか。生い立ちを文章にまとめていく活動をより充実させるにはどうしたらよいのか。読み書きにとどまらず、幅広い内容をうまく取り入れるにはどうすべきか。広く市民の聞から識字に関わるボランティアを募れないのか。そんな問題意識が強まりました。
この手引きでは、そうした交流や対話を通じて生まれたものです。従来の識字運動で大切にされてきたことをふまえ、今後に向けての問題提起もおこなおうとしています。
部落の識字運動はもちろん、この手引きがさまざまな読み書き教室に関わる人にとって参考になれば、これにまさる喜びはありません。お使いになってお気づきになったことをぜひお知らせください。日本の識字がいっそう発展することを願いつつ。