調査研究

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識字部会
コラム

世界の識字は今

 

 ユニセフがまとめた統計によると、1990年の段階で国別の成人(15歳以上)の識字率の最低値は、女性は5%、男性は18%でした。このあと女性の識字率は7%,11%、男性の織字率は26%、33%‥・と続きます。性による識字率の開きは「女性に学問は不要」という女性差別の結果であると考えられます。

 また、識字率と経済力も密接に関わりがあることも明らかです。識字率の低い国々は、所得水準の低い「第三世界」と呼ばれる陣営に分類される国々に備っています。

 非識字者の実態を地域別にみたデーター(1985年ユネスコ)によると、アジアに6億6,600万人、アフリカに1億6,200万人、テンアメリカ・カリブ海地域には4,400万人の非織字者がいます。この数字は、1985年当時の成人の4分の1にもあたります。    そして、この問題は成人だけでなくこども達にも大きな影響を与えています。30年前の「部落」とよく似た状況だといえるのではないでしょうか。「畑を耕すのに読み書きの能力は絶対に必要なわけではない。」「少しでも人手が欲しいのに学校なんか行かせる余裕はない。」

 貧しい農村部から都市に出てきたものの字の読み書きができず、職を得られない人たちが、貧しく不衛生な環境で生活させられています。1994年の5歳末満児の死亡率を日本を1として比較すると、タイが5.3などとなっています。

 そして、生きのびたこどもたちも学習の機会を得ることができず、生活の改善をになう力を身につけられないため、結果的にスラム状態は改善されないという悪循環が繰り返されています。

 この悪循環を断ち切ろうと、スラムのなかや農村部に学校をつくる運動が多くのボランティアの協力のもと進められています。このボランティアには日本をはじめ多くの国から人びとが参加しています。また、学校教育だけが教育ではないという観点から、絵本や劇などを通じて生活習慣・環境衛生・公衆道徳などを理解させる取り組みが、地域ごとに特色をもたせた形でおこなわれています。

 識字は、字の読み書きの力だけでなく生活を支える基礎力を身につけるために世界中で取り組まれているのです。