調査研究

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部会・研究会活動 <識字部会>
 
識字部会
番外編
チャレンジしようあなたの識字学級

・転勤してきた担当者の湯合

 Z市、A公民館へB解放会館から職員が転勤してきました。彼女はB解放会館で識字学級を担当しており識字で学ぶ人びとに深く心を動かされていました。同和地区以外にも文字の読み書きに不自由して入る人が必ずいる、それが彼女の信念でした。おりしもZ市では国際識字の十年にかかわって、識字指針の策定中でしたこ解放運動からの要望もあり、上司から検討を依頼されました。受講生は?講師は?予算は?彼女は早速、すでに識字学級の開設されている隣のúS市のC公民館やY市のD公民館へと見学にでかけました。

 úS市のC公民館は歴史も古く、公民館の主催事業として開催されていました。受講生は、在日韓国・朝鮮人が中心で、10年前の開設時は数人の受講生が週1回、1人の講師のもとに学ぶだけでしたが、今では週2回、受講生は20人、講師は5人となっていました。予算も開設当初は、従来おこなっていた社会教育講座を組み替えただけの微々たるものでしたが、今では、少ないとはいえ、講師への謝礼、教材の購入費などが計上されていました。

 一方、最近開設されたばかりのY市のD公民館では、新しい漢日者が受講生の中心であり、ボランティアの講師とともに学習がおこなわれていました。また、公民館は場所の提供が基本で、連絡や教材作成への協力はするものの自主的な事業と位置づけられていました。参加者は受講生も講師も多いけれど、これからは講師の研修が課題だと、古くからいる講師は語ってくれました。

 

・退職した教師の湯合

 “あ”市の“い”中学校を定年退職した“ろ”は、非常勤嘱託として勤務していましたが、物足りない日々を送っていました。社会科の教師であった彼は同和教育推進校に勤務したことがあり、識字学級の講師として何年聞かを過ごしてきました。何か役に立てないか、そんな思いを抱いていた彼は、ある日日本語ボランティア講座のちらしを見つけました。講座は週1回、3カ月ぐらいの短いものでしたが、折あしく体調を崩し、最後まで続けることができませんでした。ただ、最初の講師が語っていた「日本語を教える特別な技術なんてない。実践のなかでつかみ取るだけ」という言葉が心に残っていました。

 そんなとき彼のクラスに中国からの帰国者のこどもがいることを知りました。

 学校からの連絡のことなども含め、担任が苦労していると知った彼は、担任と相談し、日本語学習の機会をつくるとともに、思い切って親にも呼びかけてみました。その学校には、地域の人たちが使用できる「社会教育ルーム」があり、そこを使って親子学習会が始まりました。その地域には、こどもの親ばかりではなく、何人もの中国からの帰国者や、:波日者がいることを知って、ボランティア講座で知り合った人たちや講座の担当者に相談してみようと思っています。